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感染に不安「患者減った」9割 国は医療費抑制策やめ支援を

開業医 廃業危機も

2020年5月26日【社会】

 新型コロナウイルスに感染する不安から、地域の診療所への受診を控える患者が増え、開業医が経営を圧迫されています。感染拡大の第2波に備えて医療提供体制の整備が求められる中、経営難で開業医の廃業が懸念されています。今後の医療崩壊を防ぐ上でも、いま国による支援が不可欠です。(岡素晴)

 東京都杉並区の商店街にある天沼診療所。竹崎三立所長は、外来に訪れる患者がこの間、約3割減っていると話します。「減ったうちの半分は、電話で薬の処方を希望する再診や、在宅の訪問診療に切り替わっていますが、全体では去年と比べて実質15%の減収です」

収入5割超減

 都内の開業医らでつくる東京保険医協会が4月に会員から集めたアンケートによると、回答した1221医療機関のうち、外来患者数が減ったのは94・1%にのぼります。保険診療収入が前年比で5割以上減少した医療機関は3分の1を超えました。大阪、愛知の保険医協会の調査でも、8~9割の医療機関が前年より減収となっています。

 竹崎さんは、受診控えが半年続けば、廃業を余儀なくされる個人開業医も出てくると危機感を募らせます。

 東京都練馬区で診療所を開業して16年になる内科医は、3割弱の減収に直面しています。「例年、冬場以外は1日あたり80人前後の受診があるのが、いまは60人弱です」

 受診回数を減らす患者だけでなく、持病の薬が尽きている時期なのに受診を全て取りやめている患者もいるといいます。

 「私の診療所は土地・建物を自分で所有していますから、しばらく持ちこたえることができます。厳しいのはビルのテナントを借りている診療所でしょう。都内は家賃だけで月100万円前後しますから」

“焼け石に水”

 国は月の売り上げが50%以上減少した個人事業主に100万円を支給する持続化給付金制度をつくっています。開業医も対象ですが、テナント料と医業の減収分などを合わせ月額数百万円にのぼる負担。1回きりの給付金で埋め合わせられるはずがなく、“焼け石に水”です。

 国は、感染症対策の第1次補正予算で、医療提供体制の整備にあてる1490億円(緊急包括支援交付金)を計上。一方で、コロナ収束後の観光支援などのキャンペーン事業に1兆7千億円近くの予算を決定しています。

 この内科医は「医療のことを全然考えていない政治です。医療界も引き続き党派を超えて声を上げ、国を動かしていかなければ」と怒ります。

 東京保険医協会は、医療提供体制を堅持し、地域医療を守るためにテナント賃料補助制度などを早急に創設するよう国に要求。全国保険医団体連合会(保団連)も、持続化給付金とは別に、医科・歯科診療所、病院に対し、前年同月の収入を補償する制度の実現を求めています。

 前出の竹崎さんは、感染拡大で表面化した医療危機の背景に、長年の自民党政治の医療費抑制政策があると強調します。

 「病院ベッド数を減らし、急性期病棟もどんどん締め付けてきた。そのひずみがもろに来ています。それでも個人開業医は身銭を切ってかろうじてやってきたのですが、今回はそれも厳しくなっている。コロナから人命を守るためにも医療切り捨て政策を転換すべきです」