恐れ、そんなもの何もない
私は「不可能、そんなものは何もない」という広告コピーが好きだ。一つの文章で感じられる強靭な情熱と意思が気に入っている。私にも似たような座右の銘がある。「恐れ、そんなもの何もない。」私は恐れのために何かを諦めることくらい愚かなことはないと思っている。「出来ないだろう」「失敗するかもしれない」という心配のために、スタートもしない前に断念する人たちを見たらとても気の毒だ。
もちろん、私も恐れを感じる。新しい世界の扉を叩く時は、その後に何が待っているのかわからず怖くて震えている。けれど社会を多く経験してみることが出来ない私も‘経験してみる前にはわからない’という事実くらいは知っている。だから自分にいつも話したりしている。「ひとまずやってみよう。やってみる前にはわからないじゃない。」
中学1年生の時の事だ。他の学校の学祭を見物に行ったのだが、舞台に同じ服を揃いで着た人たちが上がってきた。彼らが舞台に登場した瞬間、その場にいた全ての人々の視線が舞台に集まった。公演が終わる時までその視線は舞台を離れることはなかった。私もやはり同じだった。驚きで息さえも満足につけないまま公演を見届けた。
‘胸躍る本物の夢’と出会う瞬間!その瞬間は頭より心が先に感じるという事実をその時初めて知った。どうする事も出来ないほど心臓の鼓動が速くなって、胸がドキドキしてはちきれそうだった。私でさえも説明するのが難しい気持ちだったが一つだけはっきりとわかった気がした。
「あれだ。あれがまさに私がやりたい事だ!」
小学校の時まで私は人々の前に出るのが好きだったこと以外に特別な特徴のない子供だった。勉強にも素質がなくてきちんと頭角を現せる分野もない平凡な子供。どんな人になりたいとか、何をやりたいとかいう具体的な夢も持っていなかった。そんな私に‘何か’が生まれたのだ。やみくもにやりたい、必ずやらなければならないような‘何か’が。
当時舞台に上がっていた人たちはまさに私がビッグバンとしてデビューする前に活動していたダンスチームのメンバー達だった。学祭から帰ってきた次の日から噂を頼りに探して、兄さんたちがYMCAの青少年隊館で練習しているという事実を見つけ出して、あてもなくそこを訪ねて行った。
「ダンスを踊りたいです。」
「ダンス踊ったことあるの?」
「ありません。一度もないです。これから踊ろうと。一生懸命にやる自信があります。」
挨拶を終えるといきなりダンスを踊った。準備して行ったダンスもなかった。ただ流れる音楽に合わせて、出来るなりに身体を動かした。今思っても本当に無謀な事だった。幼稚園で教わったリズムを除いては、踊りは一度も踊ったことがない私がダンスチームに入ると意地を張るなんて。
さらに私は‘生まれつきモムチ(体が硬くて動きがぎこちなく、リズムに合わせられないような人の事)’だった。リズム感覚がなく音楽と身体が完全に別々に動き回った。経験もなく実力もない私がダンスを踊りますと意地を張るから、兄さんたちは呆れただろう。けれど志があるところに道があるように、無謀な勇気を高く買ったリーダーの兄さんのおかげで、私はダンスチームの一員になる事が出来た。
