Stage5 自分を信じる者が勝利する  最高本能 スンリ
 
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「胸に休止符を打ってダカーポを刻んでください。
休みなく走って、失敗と挫折を繰り返してこそ
望む世界に出会う事が出来ます。
自分を信じて、応援して下さい。
自信感は最も強い競争力の内の一つです。」
 
#1
非常に小さな砂粒の夢でも掴んでやる
 
1パーセントの可能性に期待して
 
「最後の1人は・・・大きいスンヒョン前に出てきて。」
 2006年夏、1年余り進められたオーディションを終えてビッグバンの最終メンバーを選定する場所、ヤン・ヒョンソク代表様がジヨン兄さん、ヨンベ兄さん、テソン兄さんに続き、最後に呼ばれた人はT.O.P兄さんだった。私の名前は最後まで呼ばれなかった。
 瞬間、何も考えられなかった。ただ私自身に腹が立って狂いそうだった。出来るなら思い切り殴ってやりたかった。苦労して探し当てたチャンスをあっけなく逃した私が憎いだけだった。だが今になって後悔しても何が出来ようか。慟哭して後悔してみたって時間を戻すことも、不合格が合格に変わる事もない出来事だけどね。
 これで終わりという事実が信じられなかった。もうこれ以上兄さんたちと一緒に歌って踊る事が出来ないという事実を受け入れたくなかった。また最初から始めなければならないという事実がなかなか実感できず、涙さえ出てこなかった。
 
 やりきれない気持ちも湧いてきた。ただ歌手になるという夢ひとつだけを頼りに、親戚も友人もいないソウルに一人ぼっちで上京してきて、死ぬ覚悟で練習したから。兄さんたちに比べてとてつもなく足りない実力だとよく分かっているので、明け方でも1人で練習室に向かう私だった。そんなふうにこつこつと耐えたのに、こんなにあっけなく落ちるものなのか。
 ‘愚か者は常に最善を尽くしたと話す’という話のように、結果で証明できなければあくまで言い訳で口実ということだ。振り返ってみれば私はやはり、‘最善を尽くした’という言葉で自分を慰めたのではないかと思う。
 「小さいスンヒョンは歌手として君が持っている才能だから踊りをうまく踊るのはわかるんだけど・・・。今私はダンサーを選んでるんじゃなくて歌手を選んでるんじゃないか。そうでしょう?そういった面が君は少し足りなかった。」
 ヤン代表様の評価は痛いほど冷静で正確だった。最も好きで自信がある分野が踊りだったので、何よりも踊りに熱心だったという事実を否定することは出来なかった。結局私が自ら招いた失敗だから、弁解も抗議も出来なかった。
 その時だった。的を射た評価に心が折れそうになった瞬間、信じがたい話が聞こえてきた。
 「やりたいという意思があるのなら、メンバーたちの練習が終わった後に明け方1人で出てきて練習することは、私はとやかく言わないから。だけどもう一度戻れる可能性は10パーセント未満だ。スズメの涙ほどの可能性はあけておくから。」
 
 意思、可能性、10パーセント・・・。‘スズメの涙ほどの可能性’はすぐに‘やっても特に効果がない事’という意味だとわかったけれど、それでも一筋の光のように感じられた。まだ終わりじゃないという事実だけでも感動的で嬉しかった。成功する可能性が薄くても、なお挑戦することが出来るという事実に胸がどきどきした。
 涙を流してみれば、人は幸福もより大きく感じるということだ。今は泣いているが次は笑う為に、私はスズメの涙ほどの可能性でも掴んで手に入れる決心をした。