暗いトンネルを抜ければ、かがやかしい日の光が待っている
2007年に発表した「嘘」が大きくヒットし、まもなく発表した「最後の挨拶」までもがたくさんの愛を受けた。だが幸運が続くと支障が多いと言うが、曲に対して良くない話も聞こえてきた。フリーテンポ(Free Tempo)という日本の歌手の曲を盗作したという疑惑がふくらんだのだ。結局原作者のフリーテンポまで出てきて、盗作でないと代弁してくれたので事態は収束したのだが、色々なことを考えすぎて頭の中がぐちゃぐちゃになった。その時目に映った言葉が「Too Fast to Live, Too Young to Die」であった。セックス ピストルズ(Sex Pistols)の伝説のベーシスト シド ビシャス(Sid Vicious)の生涯を描いた映画「シド アンド ナンシー」に出てくるセリフだった。
色々な意味に解釈されることができる言葉だったが、私には「彷徨と挫折がいくら私を襲ったとしても、このままあきらめるにはまだ早い」という意味だと思われた。その時期、私自身を表現している文章ではないかと思えた。そして私自身をもう一度正す気持ちで、背中にその文句を刻んで入れた。
私はアルバムを準備する期間ずっと深い考えに浸る。一日中考えてまた考える。そして時には戦意喪失したりもする。
右腕にある「Vita Dolce」は「どんな時でも甘くて幸せに暮らそう」という意味で、自分に対する誓いであり約束だ。原文は「La Dolce Vita」イタリア語で「甘い人生」という意味だが「人生を甘く」と変えて刻んだのだ。左の腕にある「Moderato」は、急いで前だけ見て走らずに「ゆっくりと、周りを見ながらいこう」という意味だ。
冬という季節がなかったら、春の太陽の光が暖かく感じられないだろう。時には冷たい風に心を痛め、厚いコートの襟を固く閉ざさなければならないことや、終わりの見えない暗いトンネルをすぎなければならない時もある。だがホコリをぱらぱら飛ばし、車がガタガタ音を立てるような舗装されてない道だからと進むのをあきらめたら、トンネルを抜け出した時のかがやかしい日の光を見ることはできないだろう。
