悪夢はXマスプレゼントから | 放課後NPOを作ろう!

悪夢はXマスプレゼントから

 「悪夢はクリスマス・プレゼントから始まった~ゲーム・ネット依存から子どもを救うために~」。


 これは文春新書から07年5月に出た岡田尊司さんの『脳内汚染からの脱出』の腹帯の文言です。


 まさにその危機が、意外なところから我が家にも迫ってきました。きっかけは60台後半の母の一言でした。


 「私、今年のクリスマスプレゼントにはDSが欲しい。ボケ防止のために計算とかやりたいの。まわりも結構、やているのよ。オホホホホ…」。


 で、購入したのが私の兄。兄には小学校低学年の長女がいて、時々は彼女にもDSを貸してもらい「インド式計算」などをやらせるとのこと。


 兄にとっては一石二鳥、基本的には祖母のものだから、抑制が効くだろう、くらいに思っているのかもしれません。現代の小学生にとっては、もはやゲームは友達づきあいの関係もあって、逃れられないアイテムなのでしょうか。


 でも、私は「ああ、ついに我が家にもゲーム汚染の危機が迫ってきた」と思いました。


 兄と私の家族は、近くに住んでいることもあって、よく集まります。お陰で、子ども同士(いとこ同士)でも仲が良く、これまでも会えば、異年齢交流のエネルギーが爆発する程の遊びっぷりでした。それが変わるかもしれません。


 祖母に渡ったはずのDSですが、その小学校の子が手にしている姿が目立つようになりました。私たちが遊びに行っても「インド式計算」をやっています。


 実際にプレゼントが渡ったその日も、「ねえ、遊ぼう」とわが子が姉貴分のその子に言っても、DS中のため「あとでね」と言って断られる機会が数回ありました。


 まさに、恐れていた事態です。


 せっかくの異年齢交流の場が、DSに侵されてしまいそうなのです。その場にあるコミュニケーションの形は、「人←→人」ではなく、「人←→DS画面」になってしまいました。


 そのため「人」/「人←→DS」と関係が断絶された格好で、「遊び」のパワーの爆発力も、一気に低下してしまったのです。


 祖母に兄が買い与えたクリスマスプレゼントのDS。兄や母が想像している以上に、私にとっては脅威です。


 そして姉貴分が楽しそうにDSに向かう姿を見て、次にやってくるのは「私にもゲーム買って」という我が子からの一言でしょう。


 私は、きっと、何も言わず、悲しそうな顔をして、まず泣いてみようかなと思います。そしてキッパリ宣言します。「パパはゲームが嫌い。DSより楽しいことを何か一緒に探そう!」と。


 この年末年始、改めてお勧めしたいです。『脳内汚染からの脱出』(著:岡田尊司・文春新書、07年5月発売・950円)。


 ちなみに岡田先生は、京都医療少年院に務めている精神科医です。若者の精神的な危機と常に向き合っているだけに、その言葉には一つ一つ、重みがあります。