こんにちは、東京都中央区日本橋にて在留資格と遺言・相続手続きを専門で扱っている行政書士 加治屋事務所です。

外国人材の採用は、企業の人手不足解消やグローバル化に貢献する一方で、企業側には不法就労をさせないための厳格な義務が課されています。もし企業が不法就労者を雇い入れてしまった場合、たとえ「知らなかった」としても、「不法就労助長罪」に問われ、**厳しい罰則(3年以下の懲役または300万円以下の罰金、あるいはその両方)**が科せられるリスクがあります。

このリスクから企業を守るための最も重要な手続きが、「在留カードの確認」と「適切な管理」です。

本記事では、企業の人事担当者様向けに、外国人採用時に必須となる在留カードの確認義務の具体的な内容と、不法就労を防ぐための管理方法を徹底的に解説します。

 

1. 企業に課せられた「在留カード確認義務」とは

 

外国人労働者を採用する企業には、出入国管理及び難民認定法(入管法)第27条の2に基づき、その外国人が日本で働く資格があるかを、在留カードを用いて確認する義務があります。

この義務は、以下の3つの重要な確認事項から成り立っています。

 

確認事項① 在留カードの確認(本人確認と有効性の確認)

 

本人確認: 採用する外国人本人から在留カードの提示を受け、カードの写真と本人を照合します。

有効期限の確認: 在留カードに記載されている在留期間が有効であることを確認します。期間が切れている場合は、不法滞在者にあたります。

偽造・変造の確認: カードの記載内容が改ざんされていないか、裏面を含めて確認します。(ICチップリーダーでの確認が最も確実です。)

 

確認事項② 就労可否の確認(活動制限の確認)

 

在留カードの**「就労制限の有無」欄**を確認し、その外国人が貴社で任せる業務を行うことができるかを確認します。

記載内容 貴社で任せられる業務
就労不可 原則として、働くことはできません。(例:留学、文化活動、短期滞在)
在留資格に基づく就労活動のみ可 在留資格で許可された職種(例:技人国、特定技能)のみ働けます。貴社の業務がその資格の範囲内かを確認する必要があります。
就労制限なし どのような仕事でも働くことができます。(例:永住者、日本人の配偶者等、定住者)

 

 

 

確認事項③ 資格外活動許可の確認(「留学」など非就労資格の場合)

 

「留学」や「家族滞在」など、本来働くことができない在留資格の外国人については、在留カードの裏面に「資格外活動許可欄」があるかを確認します。

確認点: 資格外活動許可を得ていれば、週28時間以内(教育機関の長期休業期間中は1日8時間以内)という制限内で働くことができます。

注意点: 企業側は、この時間制限を把握し、絶対に超過させないよう勤務時間を管理する義務があります。

 

2. 在留カードの適切な管理と保管方法

 

確認義務を履行した後は、その後の不法就労を防ぐために適切な管理が必要です。

 

A. 記録の保管(コピー義務)

 

企業は、在留カードを確認した証拠として、以下の情報を記録・保管しなければなりません。

カードの裏表のコピー: 表面の有効期限、裏面の資格外活動許可の有無がわかるように、両面を鮮明にコピーし、保管します。

確認日と確認者の記録: 誰が、いつ、在留カードを確認したかを記録しておきます。

 

B. 在留期間の厳格な管理(期限切れ防止)

 

企業が最も避けなければならないのが、外国人が在留期間の更新手続きを忘れて**オーバーステイ(不法残留)**になることです。

期限管理台帳の作成: 全外国人従業員の在留期限を一覧にした台帳を作成し、管理します。

リマインドの実施: 期限の3~4ヶ月前になったら本人に通知し、更新手続きを促します。

再確認の義務: 本人が更新手続きを完了し、新しい在留カードを受け取った後、企業側は改めて新しいカードの有効期限と就労可否を確認する義務があります。

 

C. 転職・退職時の確認

 

外国人従業員が退職した場合、企業は入管法に基づき、その外国人の氏名、在留資格、退職年月日などを14日以内に出入国在留管理庁に届け出る義務があります(届出義務)。

 

3. 知らないと危ない!不法就労助長罪に問われるケース

 

企業が「不法就労助長罪」に問われるのは、不法就労者だと知っていた場合だけでなく、「注意すれば不法就労者だとわかったはず」という過失がある場合も含まれます。

危険なケース 企業が負う責任
在留カードの期限が切れていた 確認義務を怠ったと判断される。
留学資格の学生を週28時間以上働かせた 資格外活動の制限時間を管理する義務を怠ったと判断される。
偽造カードであることに気づかなかった 偽造が明らかなにもかかわらず、確認を怠ったと判断される。
在留資格の活動外の業務を任せた 採用した外国人が「技術・人文知識・国際業務」なのに、工場の単純作業を任せた場合、不法就労助長罪にあたる。

外国人材を雇う際は、「在留カードの確認」は単なる手続きではなく、「企業を守るための生命線」であるという認識を持つことが重要です。

 

4. まとめ:管理体制の構築が必須

 

外国人採用時の「在留カード」の確認と管理は、企業のコンプライアンスにおいて最優先事項です。

採用時には在留資格、在留期限、就労可否の3点を厳格にチェックし、採用後は期限管理台帳や定期的なリマインドを通じて、不法就労が絶対に発生しない体制を構築することが企業には求められます。

複雑なケースや、自社での管理体制構築に不安がある場合は、専門家である行政書士に相談し、適切な指導を受けることをお勧めします。

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