ちいさなリリとちいさな足あとの旅 | 帽子少女と野うさぎ紀行

帽子少女と野うさぎ紀行

旧FF14の思い出に残しています

ちいさなリリが歩いたあとには
背丈に似合わず大股に歩いた歩幅のちいさな足あとが一揃い
それはときどき、きれいな景色やおいしい物、楽しい音楽や
おともだちのそばで立ち止まっています





ある日、ちいさな足あとが立ち止まったのはひとりのおともだちのそば
むずかしい戦闘の話や、ちょっとふざけたお話をして足あとは続きます







ある日、あしあとはちいさな茂みのそばで消えました
ちいさなリリはこの旅が先のみえない真っ暗などこかに続いているようなきがして
足元にいくつもの涙のしずくをこぼしました
そんな時、寄り添って話を聞いてくれたおともだちのそばで
涙のあとはいつの間にか乾いていました
旅に出る時が来たのです
足あとは続いていきます







乾いた土をさくさく踏んで、銀の採れる砂漠
朝露に濡れるベリーの茂み
せせらぎの川のそば…
採取道具があれば足あとはどこまでもどこまでも行きました






ある雨の日、リリは自分とおなじくらいちいさいおともだちに会いました
足あとは暗い洞窟の中へと続きます
それまでは怖くて決してひとりで入ることのできなかったその場所も
おともだちと一緒なら、不思議と怖さが半分になったからです
ちいさな二揃いの足あとは、元気よく泥水を跳ね飛ばして跡をつけました






やがて、旅慣れて、ブーツもぼろぼろになった頃
リリはふと足を止めて思いました

この世界中をまわってきたけれど わたしこの世界が好きみたい

そのつぶやきはとてもちいさかったので、だれにも聞こえませんでした
ちいさな足あとはしばらくそこにとどまった後、もうどこにも行きませんでした
リリは新しいはじまりをここで迎えることにしたのです
世界のおしまいをここで迎えることにしたのです

リリとちいさな足あとが旅をしてきた世界は形を変えて
二度と同じ姿を現すことはもうありません
おともだちともう一度、同じように声をかけあえたらそれは幸運でしょう
だけれど、リリは丘の上に座るとちいさくまたね、とつぶやきました

また旅に出る日が来ることをしっているからです
ちいさな足あとはまたいつかの日に、背丈に似合わない大きな歩幅で
どこまでもどこまでも続いていくでしょう