〜現在18歳の重度自閉症  末っ子 K の
          約10年間の不登校生活を通じて感じた事を
         少しずつ書いていきたいと思ってます〜 
Kは 脱走癖がある子でした。
日中は いつも目を光らせ 脱走を阻止してましたが
Kが6歳の頃の
まだ3月の寒い日曜の朝の8:00
休みなので ノンビリ寝てた私。
目覚めると隣に寝てるハズのKがいません。
一階のリビングで いつものように
パソコンを見てるのかと思い 一階に降りると
玄関マットに
いつも 抱っこしてる クマくんとカービィが
ポイッと置き去りに…

慌ててリビングに入りKを探す。
いない。
慌てて玄関に戻る。
Kのお気に入りの長靴…無い

玄関ドアの鍵…開いてる

一体 何時に 起きて 出ていったんだろう?
なんで私も夫も爆睡しちゃってんだろう?
とにかく、家族総出で捜索開始

夫は、いつも買い物に行くスーパーに。
私は いつもの散歩コースに。
長男は チャリで Kが いつも 突っ走って行く方向に。
長女は もしも、戻ってきた時の為の自宅待機。
小一時間ほど 探してみましたが
見つかりません

まだ寒い3月の朝 気温は 3℃くらいなのに
パジャマ上下姿に長靴で 出ていってる

信号も見れないし 道路の脇には
雪山も残ってる。
もし、雪山の陰から 飛び出したら
車からは見えない…


とにかく 警察に電話しました

もしもし、すみません、
実は 子供が 家から脱走してしまい
行方不明になってしまったようなんです
はい。わかりました。
では詳しい状況を聞きますので
少々、そのまま お待ちください。
1分ほど 待たされた あと
あー、もしもし、わたくし
〇〇(うちの地域)派出所の者ですが
お子さん おいくつですか?
はい。6歳です。
あっ、あー!あのね
お子さん、自分の名前 言えますか?
この質問で、ピン
と、きました。
と、きました。もしかしてKは もう見つかってる?
いいえ、知的障がいがあるので
自分の名前は言えません。
あっそーか。あのね、
今 うちの派出所に 男の子一人 いるんです。
もしかして 車の絵の付いた青いパジャマ着てる?
あーーー!そうです、そうです!
多分 うちの子供だと思います。
本当に申し訳ありません。
今から迎えに行きます。
あ、いいですよ。こちらから
送って行きますよ。
ご住所 教えてください
いえいえ、とんでもないです。
こちらから行きます。
パトカーには乗れないと思いますし
(大泣きでパニクってるだろうから
知らない人(警察官)と 行動出来ない

)


)え、でも 、もう 喜んで乗り込んじゃってるから
送って行きますよ〜〜
ええええええ〜
あ、パトカー効果ね…


その数分後 パトカーに乗せられ
ニコニコで戻ってきました。
わたし達の顔を見るなり
バツが悪そうにしています



とりあえず、警察の人にお礼と
障がい児が地区にいると言う登録を済ませて  
家の中に入ると
夫と布団の中に潜っています。
きっと私に怒られると思ってるようで
布団から出てきません。
夫が
「反省してると思うから怒らないで」
 と言いましたが
とりあえず
「K、お父さんとお母さんと お兄ちゃんと
お姉ちゃんは、すごくすごく心配して
悲しくて 泣きました」
と、言ってみましたが
  たぶん よくわかって無いと思います

でも、私が怒ってないと言うのは
分かったらしく
「Kータン、トコトコ、イッタダネ!」
(ボクは 一人で 歩いて行きましたよ!)
と、まあ、
ものすごい達成感で誇らしげなK



思わず吹き出してしまいました
以前に、施設で長年 働いてる方に 
脱走は どうしたら 治るか尋ねた時
「脱走自体がパターンに、なってしまい
パニックや不穏になると
目的も無く 脱走してしまうタイプと 
目的がはっきりしてて
達成 出来れば 脱走しなくなるタイプが
いるように感じます」
と、言われた事がありましたが
Kは おそらく後者だったようで
誰にも止められる事なく
一人で 走り抜け 目的地に到達 出来たのが
嬉しかったようで その後 2〜3年は
まっしぐらで走って脱走する事は
無くなりました
そうそう。どこで 捕獲されたかと言うと…
自宅から おばあちゃんの家まで
いつもKと散歩がてら歩いていってたのですが
その通り道の防風林を一人で歩いてたそうです。
それを見かけた ウォーキング中のお爺さんが
Kの手を繋ぎ
近くのコンビニに連れて行ってくれて
そこのコンビニの店員さんが
警察に連絡してくれたらしいのです。
へぇ〜、よく 知らない人に、手を繋がれて
コンビニまで 行けたな?
と不思議に思いながらも 
翌日 コンビニにお礼を伝えに行き
ここまで連れてきて下さった
お爺さんにもお礼がしたいので
連絡先を 教えて頂けますか?
と言うと
それが、 
名前を聞いても教えてもらえなかったんです。
最初は、お子さんも
「ジーちゃんジーちゃん」と呼んでたので
てっきり 本当のお孫さんかと思ってたんです
え…
今回、
Kが脱走して、すごく慌てて
焦っているはずなのに、
何故か、でも大丈夫な気がする…
と俯瞰で見てる自分を感じたりして、
変な感じがしていました。 
実は この脱走事件があった
一年前に 私の父が亡くなっていました。
Kは 父に とても懐いていました。
Kが、見つけられた防風林は
父の いつものウォーキングコースでした。
見つけられた後 連れていかれたコンビニは
Kが 父とよく行ってたコンビニでした。
Kは 知らない人には近づけないし
手を繋ぐのなんて、もってのほかなのに…
どうして 見知らぬ お爺さんと
手を繋いでコンビニに行けたんだろう…
もしかして、父が 助けてくれたのかもしれないな
そうだったら 本当にありがとう
おじいちゃん

