幸い薬の副作用もさほどなく、普通の生活を送れてはいました。仕事もしていました。仕事では頼りにされやりがいもありました。夫婦仲も悪くありませんでした。不妊を相談できる友人もいました。美味しいものも食べて楽しくおしゃべりする時間もあって。幸せではない訳じゃない。何か足りないと思うのは自分が望み過ぎているのだ、と。
もっと辛い人はたくさんいる。だから自分はまだ恵まれている方。そう思うけれど、私以上に持っている人はたくさんいて、考えれば考えるほど、『隣の芝生は青い』のです。
自分が嫌な人間になっていくのも分かっていましたし、暗い考えばかりでは人生勿体ないことも。
すべての考えが『妊娠』や『こども』にばかり集中して身動きが取れない。終わりの見えないトンネルで佇む私がいました。
そして私の不妊仲間であり親友から妊娠したと報告を受けた時、素直に喜べない惨めな自分と向き合うことになるのです。
