表紙が曇っているのは 

グラシン紙。



グラシン紙の紙質好きで

触った時にするカサっていう微かな音も好き。


なので

カバーして読んでます。



ちょっとした思いつきで音読したら、

これが結構楽しいです。


特に美しい文章の小説などは

音読する位のペースがちょうどいい気がする。


声に出して読んでいると、


口の中に文字の味わいが広がって、

まるで食べているような気持ちになるので、


おいしい読書と言うわけです。


梶井基次郎、

表題作の「檸檬」は

言わずもがなですが、  


その中にある別の短編

「城のある町にて」も

とってもお気に入りです


幼い妹の死を看取った

主人公の不安定な感情や悲しみを癒すために訪れた姉夫婦一家の住む三重県の松坂町での実体験を題材にした私小説的作品です。



風景や人間の描写が、実に写実的で

文章の中で起きていることが、
自分の中で起きたことのようにと思えるような、実に繊細な表現力だとおもう。

私、
ちょうどこの小説を読んだ日に、
とある場所で、

とある人から言われた
何気ない一言がちょっと気になっていました。

モヤモヤ。。

それは嫌味みたいな一言。

きっと数日経てば
気にならなくなるような些細な事です。


この「城のある町にて」
の中で

主人公が芝居小屋でつまらない手品を見させられて、腹立たしく不愉快になった後の

ちょっとした会話のやりとりから
 主人公は気持ちが変わってゆく
そんな
エピソードが差し込まれていまして、
それをこんな風に書いている。

「その不愉快な場面を非情人に見る。
そうすると、反対に面白く見えてくる。

下等な道化に独りで腹を立てていた、先程の自分がちょっと滑稽だったと彼は思った。」

⭐️「非情人」→人情から超越して煩わされない事


そうそう。この主人公のように 
ちょっと対象から退いて見たら

モヤモヤの重い気持ちが軽くなって
くるのですね。

無理に気持ちを整理しなくても
ゴチャっとしたリアルも
なかなか面白いものだとさえ思える。


他にも
さりげなく対象をスケッチしたような
文章の中に
作者の心情が写しとられて胸に迫ります。  

さて おいしい読書のあとは 

リアルおいしいといいなごはん。

ちょっと前だけど、長男がご飯を食べに来ると言うので


ちゃっちゃと
あるもので作りました。




子供たちが小さい時によく作った豆腐ドーナツ、久しぶりに作ったら、



その油の吸いっぷりに
びっくりしましたびっくり