ボクは幼少期、父のことを「うそつき」と呼んでいた
でも、とってもやさしくて、おもしろかった
野毛の場外馬券、たばこの煙、怒号と罵声のとと飛び交う喫茶店
よく、「内緒だぞ」と言って不二家のパフェを食べさせてくれた
オヤジのあぐらの上に座って、予想の邪魔をしていたっけ
土曜の夜、夜更かしさせてくれた
オヤジの淹れてくれたコーヒーは世界一うまかった
ボクの少年期、父のことを「うそつき」と罵った
仕事で生活費まで使い込んでいた
おふくろは、毎日泣いていた
陰では偽善者とボクは罵った
青年期のボクには、父はうっとおしかった
仕事のことやらなんやら
口汚く叱られた記憶しかない
家族を不幸に陥れたあなたを呪った
最近の父は、ボクの子らをやさしく見守ってくれているお地蔵さんのよう
いつもにこにこして、決して怒らない
ボクが子どもを叱ると「まあ、いいじゃないか」とたしなめる
冬になるとスタッドレスタイヤの交換のことばかり気にしている
ボクの家族のことをとても気にしている
最近は杖を突いている
犬の散歩がなくなって、足が衰えたようだ
元気な父をあと何年みられるのだろうか・・・
ボクはあとどのくらい親孝行できるだろうか
親父殿、まだまだ元気でいてください