転職の理由にはいろいろありますが、その中で最も多いのが、「人間関係」で悩んだ末、転職をするケースです。さらに、職場での人間関係で最も比重が高いのが「上司との関係」といえます。

多くの企業が成果報酬型の賃金体系になっていく中、上司は成果を評価する人物として、ますますその重要性を増しています。

 

ただ、上司を選ぶことはできませんから、上司と性格や考え方が合わないなどの理由から、「上司が嫌い!」となってしまう人も少なくありませんし、場合によっては、「上司が理由で転職を考える」という人も数多くいます。

でも待ってください。上司と合わないからといって、せっかく就職した会社を辞めてしまうのは、もったいなくないですか。特に、仕事の内容や、上司以外の同僚に不満はないのに、「上司が嫌い」というだけで転職してしまうのは、大変惜しいことです。

今回は、今の状況をなるべく客観的に把握できるよう嫌われる上司の主な特徴を挙げて、「そー、こういう上司いるいる!」と共感、理解していただいた上で、せっかくのお仕事を失わないように、そうした上司へのパターン別の対処法をお示ししていきたいと思います。

 

嫌われる上司にありがちな6つの特徴

 

特徴1.自分のミスをなすりつける

自分のミスをなすりつける上司は、仕事上、もっとも最悪なタイプの一つだといえます。仕事内容をきちんと報告し、上司の了承を得ているにもかかわらず、「失敗したのはお前のせいだ!」と部下に責任転嫁するタイプです。

こうした上司は責任感がなく、目上の人から叱責されることを恐れている場合が多いです。要は自分の事しか考えておらず、組織を率いていく資質がない人といえます。

 

特徴2.正当に評価せずエコひいき

エコひいきする上司も、組織を率いていく資格はないといえるでしょう。もちろん、上司といえども普通の人ですから、人に対して好き嫌いはあって当然です。

ですが、それを表に出すばかりか、評価にも反映させてしまうとなると、これは部下にとって相当な迷惑ですし、仕事に対するモチベーションも失われてしまいます。

勉強熱心ではない高校生を東大に合格させるという内容の人気漫画には、ある先生がある生徒を嫌いだろうと指摘されると、「嫌いだけど、プロの教師としてそれを感づかれることは絶対にしない」という趣旨の発言をするシーンがあります。

会社で管理職の立場にある人も、こうしたプロ意識を持つべきです。ただ、そうした意識に欠け、エコひいきする人が多いのは、会社にとっても部下にとっても大変不幸で迷惑なことです。

 

特徴3.常に上から目線で、公私混同

上司であるからといって、常に上から目線で指示を出したり、そうした態度をとったりするのは、大変滑稽な話です。会社というのは、非常に狭い世界であり、上司、部下という関係も、所詮は狭い世界のことでしかありません。

部下のほうが優れている点があるのは当然ですし、狭い会社の中で権力を振りかざすことは、全く意味がありません。

それにもかかわらず、仕事以外の場でも、上司面して上から目線で酒の席で絡んだり、部下を劣った人のように扱ったりするのは、極めて狭い視野で物事を考えている証拠です。

会社=人生、であった時代はとうに過ぎ去り、もはや毎日会社に通うことすらなくなろうとしている時代です。

常に上から目線で、公私混同する上司は、もはや社会的に有害なばかりか、そのうち居場所を失うことは確実であるといえるでしょう。

 

特徴4.感情を隠さない、陰湿

「感情を隠さない、陰湿」というタイプの上司にはエコひいきする上司も含まれますが、エコひいきとはまた違った形で感情を出す上司もいます。

会社とは利益を追求する集団であり、そのために合理的な手段をもって、目的を達成すべき集団です。

ただ、そこに自らの感情をストレートに出してくる人が入ると、うまくいくものもうまくいかなくなってしまいます。しかもそれが上司という立場の人である場合、その組織は合理的に目的を遂行する集団でなくなってしまい、肝心の利益追求ができなくなってしまう恐れすらあります。

さらにそこにいじめなどの陰湿な仕打ちまで行うとなると、これはもはや救いようがありません。その組織は利益追求のための集団ではなくなり、仕事を隠れ蓑にした、権力者のための集団になってしまいます。

ここまで組織が堕落してしまうと、その再生のためには、大変な労力を要することになります。

 

特徴5.異性として接してくる

特徴3の「常に上から目線で、公私混同する上司」とも重なりますが、部下の女性を何か自分に奉仕すべき存在だと思い込んでいる、時代錯誤、かつ迷惑な上司が後を絶ちません。国際的に女性の国会議員の割合が少ないことや、いまだ女性の首相が誕生していないことからもわかるように、この点で日本の会社は遅れに遅れているといえるでしょう。

ただ、男性上司が女性部下にセクハラまがいのことをする以外にも、最近起こった事件などを見ると、女性が組織上目下の男性に対してハラスメントを行うこともあります。

こうした、組織上目下の異性に、異性として接する態度は、さきほど述べたように、感情を表に出す、常に上から目線で公私混同する、といった特徴と共通のものがあります。

会社は利益追求のための集団であり、上司のための組織、部下ではないことを完全に認識していない人が上司になってしまうと、このようなことが起こってしまうのです。

 

特徴6.指摘の内容が細かい

指示の内容が的確で修正すべき内容であれば問題ありませんが、細かすぎる指摘は一緒に仕事をしていると疲れてしまいます。

自分の価値観を押し付けて少しでもズレがあると過剰に指摘してくるタイプの上司では、部下が考える力を発揮できないため成長できません。

また、修正しなくても問題ない場合も細かい指摘を受けたことで、修正に時間を取られてしまうため会社としてもデメリットになります。

 
 
 

 好かれる上司の特徴とは

 

 

続きまして、いい上司は、生まれつき素質があるのだろうか?それとも経験がそうさせるのだろうか?

Claremont McKenna Collegeでリーダーシップと組織の心理学を教えているRonald E. Riggio氏によると、最高の上司と呼ばれる人の3人に1人には生まれつき素質があり、残りは経験が影響しているとのこと。

好かれる上司が何より重要視しているのは、部下との関係性。最高のボスという名誉を手にする人たちが心がけている11の習慣。「Inc.」でMark Schwantesさんがまとめているので紹介しましょう。

先に嫌われる上司を書いたのは好かれる上司の考えている領域が嫌われやすい上司と比べても次元が違い過ぎる事です。

因みに好かれる上司は「部下に好かれる為」に行動しているわけでもありません。

 

好かれる上司の特徴

 

01.計画的に動ける

02.他者をリスペクトできる

03.決断力がある

04.周囲の人を平等に扱う

05.部下へ興味をしめす

06.誠実である

07.部下を成長させようとする

08.的確な指導が出来る

09.リーダーシップを部下にとらせる

10.謙虚である

11.人の話を聞く

 

 

 

  01.
計画的に動ける

 

 

「自分でやる・任せる・やらない決断をする」のいずれかをしっかり選ぶことができる人は計画的。

デキる上司は、業務をうまく取りまとめて分配して、簡易化そして優先順位をつけて取り組むことができる。この効率的な動きは、チームメンバーのロールモデルになるのだ。

 

 

 

 02.
他者をリスペクトできる

 

「同僚の前で怒鳴られることに快感を感じる」なんて、おそらく聞いたこともないだろう。何かに貢献したり力を注いだのなら、誰もが感謝されたいものだ。敬意をはらわないと、嫌悪感や恐怖や怒りなど、逆の効果を生んでしまうことに。

 

 

 

 03.
決断力がある

 

自分の地位に甘えず、時間をかけずベストな判断を下せる上司は尊敬できるもの。何かを「やらない」と決めることも、立派な決断であると覚えておこう。デキる上司とは、例え皆から支持が得られなくとも、最適な判断を見極め貫くことができる人。

 

 

 

 

 04.
周囲の人を平等に扱う

 

慕われる上司は人によって態度を変えず、どの人にも分け隔たりなく接する人。元々人気がない上司というわけじゃなければ、これはとても良い影響であるはず。

もし、動機が嫌われるのを恐れて皆と仲良くしようとしているのなら、後々上手くいかなくなるかもしれない。

 

 

 

 

 05.
部下へ興味をしめす

 

「なぜそうしたの?」「どうすれば良いと思う?」。このような質問は部下をより考えさせるもの。また、このような質問を通して興味を示すことで、部下は躊躇せずにアイディアを出せるようになり、より良いアイデアがでる刺激的な環境をつくることができるだろう。

 

 

 

 

 06.
誠実である

 

誠実であるということは、自分の判断に揺るぎない信念をもっているということでもある。周囲に自分の判断についてどう思われても誇りに思えるはず。すると周りは「頼れる人」という印象をうけ、自然と周りから信頼されるだろう。

このように周りを安心させることで信頼を得ることになる。このようなことができる人こそ、影響を与えられる人物だろう。

 

 

 

 

 07.
部下を成長させようとする

 

尊敬される上司とは、成長して欲しいと思うからこそ部下に多くのチャンスを与え、彼らのポテンシャルを見出だせる人。部下が新たに身につけたスキルを発揮させる場をつくり、キャリアアップへと導いてくれる。

さらに言うと、成長する部下の横で自分も成長している人は、なお頼もしい人だ。

 

 

 

 

 

 08.
的確な指導ができる

 

つねに前進できるよう、部下への期待や彼らが目指すべきゴールを明確にし、確実に目標にたどりつけるよう支えていける人こそが、チームから信頼される上司である。

 

 

 

 

 

 09.
リーダーシップを部下にとらせる

 

デキる上司は、部下に決定権を与えてリーダーシップをとらせる。そうすることで彼らに自信がつき、より有能な人材に育っていくからだ。効率性も満足度もアップするだろう。

 

 

 

 

 10.
謙虚である

 

謙虚であることは弱さのあらわれ、なんて言葉をたまに耳にする。けれど、このように言う人は、往々にしてプライドが高くて自己中心的。また、偏見を持つ傾向があり、人をコントロールしようとしたりと、リーダーとして好ましくない特徴がある。

 

 

 

 

 

 11.
人の話を聞く

 

周りを第一に考えてこそ「リーダー」と呼べるもの。そのために欠かせないのは、部下の意見に耳を向けることだ。そして、もらった意見が例え非現実的であろうと、偏見を抱かないこと。

彼らの思いを汲みつつ、できる限りそれを形にしていくのが上に立つ人の役目。Peter Drucker氏曰く、「まだ声に出されていないことに耳を向けることが、コミュニケーションの肝」ということ。そして聞く時に大事にすべきことは、「彼らのために何をしてあげられるか」である。