子供から大人まで楽しめるエンタメ(*´∀`*)

資金もない。国民からの支持も微妙。アポロ計画をPRするために雇われたのは、うさんくさい広告屋のケリー。(スカーレット・ヨハンソン)

「大学に求人が出てたから・・・」というNASA職員の志望動機を、「子供の頃から宇宙開発に憧れてました」と書き換える。三人の宇宙飛行士をスターのように演出し、時計のオメガの広告をとりつける。反対派の議員も口八丁で取り込んじゃう。彼女にとってはウソをつかないことより、夢を売ることのほうが大事。ガンガン仕事を進めていく彼女はエネルギッシュでキュートだ。

いくらなんでもやりすぎでしょ、と、ケリーを苦々しくみてるのが、NASAの発射担当責任者のコール(チャイニング・テイタム)。彼はあるトラウマもあって、誠実にこの計画を実行したいと願ってる。最初のほうは、軽さがみられないテイタムが合わないんじゃないかな、と違和感あったけど、ワイの見込み違いでした。この実直な男を演じたテイタム素晴らしかった。

「ソ連との冷戦もある。失敗は許されない」と、陰謀論者ではおなじみの、月面着陸のフェイク映像を作成して放送するように、国はケリーに要求してくる。ウソだけじゃいけないと思い始めたケリーと、小さなウソくらいならつけるようになったコール。なだれこんでいく月面着陸後のTV中継のクライマックスは、笑って泣いて大変だった。

子供から大人まで楽しめるエンタメ。アームストロングの歴史的な名言を巡る秀逸な展開など、作品としては明確にひとつの回答を出している。子供にはストレートなメッセージ、そして大人がみれば、そのメッセージでは収まらないほろ苦さと、甘美な夢を感じさせてくれる秀作だ。

世の中、ウソをひとつもつかずに生きてる大人なんていない。だから、ケリーのやり口をみても共感してしまう。虚虚実実の世の中で、ウソも必要悪と思って生活してる。小さなウソをつきながらも、いやいくらなんでもこのレベルのウソはだめだ、と計りながら毎日を過ごす。そしてできるだけ、誠実でありたい、あって欲しいと願う。そんなほろ苦さと、その誠実さが報われるかもしれない儚さが描かれてるのがいい。だってそれって映画そのものだからね。

いい映画みたなー(*´∀`*)