熱血だ・・(´д`)

ストーカーによって殺された女子大生。被害者女性からの被害届けを受理していなかった警察。その理由が職員が慰安旅行にいっていたから、という失態。その事実をスッパ抜いたとみられる新聞社の女性記者が他殺死体で発見される。

地味といってはなんだけど、この規模の事件が、なぜに「公安」なんてものとつながるのか、序盤全く読めず戸惑った。映像、演出、映画としてはビンビンきてるけど、この話、大丈夫かいな?的な。だから女性記者の親友で、事件の謎を追う警察職員・泉を演じる杉作花の、俯きがちなショートカットかわええな、とか余計なことに気をとられてたのは反省。

大丈夫じゃなかったのは自分のほうだった。この事件がそんなこと・・いや、ありえるんだろうなあああという意外性で「公安」という組織とつながっていく。殺人事件を追うやさぐれた刑事・梶山(豊原功補)、泉の上司の富樫(安田顕)。冷静にしていても、彼らから漏れ出す後悔、使命感、その感情がいい。そしてうつむきがちだった泉も徐々にしっかりと顔を上げていく。警察内部の人にとっては、職務は仕事だ。だけど、人間であるからには、そのラインを超える感情があるはず。いや、あって欲しいと観客としては思いたい。やっぱり熱血をみたいのだ。

カルト宗教団体がおこした毒ガステロ事件。この映像が印象的に挿入されるのは、この作品の白眉。

泉は親友の死の意味を、ある人物にぶつける。ある人物の答えは、言葉だけで言えば、鼻白むようなものだ。泉のほうに感情が傾いてしまうところだけど、この事件映像があることによって、この対決はイーブンになってる。・・ように自分にはみえた。映像の持つ力の説得力。これがカタルシスではなく、「うーん」と肩を落として考え込んでしまう余韻を残すことになってるのが素晴らしい。最初にパッとうつったときは、こんなイメージカットみたいなとこにお金かけてどーなんじゃんい?と思ったけど、ここはお金かかけるところでしたね。またもやわかってなかったよオレ(´д`)

監督は本作が映画2作目となる原廣利。1作目の「帰ってきたあぶない刑事」も面白かった。けれどそれは、キャラの魅力かなと思ったけど、なかなか実力がある人だということがはっきりしたと思う。映画の名手が一人誕生したのがうれしい。いやー上から目線でごめんね。