オリジナル版の方が好きだな。いや、オリジナル版みたことないんだけど、多分そうだと思う(*´∀`*)
娘を殺された男・アルベール(ダミアン・ボナール)は、精神科医の小夜子(柴咲コウ)と協力して、犯人を襲撃する。
拉致した人間をキャンプで使うような寝袋に詰め込んで、二人で引っ張っていく画は映画として100点。犯人を鎖でつなぎ、トイレにいかせずタレ流しさせ、食事は床にぶちまける。何度も娘のビデオをみせて自白を迫る。相手が鬼畜なら、自分も鬼にならないといけないのか。拉致した人間の尊厳を奪うということは、こちらも人間でなくなっていくという狂気をみせられる。
それでも娘の復讐のためなら致し方なしかとみてたら、アルベールはうっかり口を滑らせる。「うん?あれれ?」と思ってからはこの話、わかりやすいカタルシスがみえなくなる。
出口がみえない復讐の、イヤー感じに背筋がぞくり。嫌な嫌な映画なんだけど、最後まで目が離せない。協力してくれてる小夜子の感情も、ほんとにわからず不気味で印象的。俳優として、もうこれ以上の役は回ってこないんじゃないか?というくらい柴咲コウが素晴らしかった。
本作はリメイクだけど、オリジナル作品の方は未見。きくところによれば、あまり大きなアップデートはないらしい。自分としては長短の両方あったと感じた。
長所でいえば、この映画の強度。復讐、法を犯すということにおいて、時代や場所を問わない普遍性がある話であり、いつ誰がみても人間の気色悪さを感じさせてくれる嫌な秀作になっている。
短所でいえば、うーん、なんていうんでしょう。短所というか、言語化できない自分の感情なんで、笑い飛ばしていただきたいんだけど、なんなんだろうこの「90年代感」は。
サイコパス、児童売春、臓器売買・・・もちろん、今でもこれらのことは世界の問題だし、軽々しく言えないけど、ここでは映画の中の題材としての話にすることを許してもらいたい。いやー先に挙げた題材を扱った映画とかドラマって90年代や00年代にいっぱい見た気がするのよね。
あえていえば、題材についてのアップデートは欲しかったな、という気がする。もちろんこの映画が描きたいのは社会問題ではなく復讐であり、アップデートがないのが欠点だといいたいわけじゃない。だけど題材的に雰囲気的に、リメイクだということを差し引いても、90年代感があったのが、どーしても気になったんですよね。
変に漂う90年代テイストなリアリティの空気感と、時代を現代に舞台にパリをもってきた感じがどうにもアンマッチな感があった。そこが少しマイナス。うまく言語化できないけどね。これなら時代も90年代でよかったんじゃないかなあ。今からオリジナル版みるけど、多分こっちの方がアンマッチ感はなく、空気がしっくりきてるんじゃないか。黒沢清の作品を意識してない人、90年代を通過してない人、特に何も意識せず本作に出会った人は、全く気にならないと思う。ていうか、やっぱりオレだけかあああ。
またまたお気に入りの映画なのに、文句の方が多くなってしまっ
た(´д`)なんだかんだでオススメです。