ティーエスワン™は1991年1月に発売されたテガフール、ギメラシル、オテラシルカリウムの3種の配合剤で、2013年6月よりジェネリック薬が発売されています。

 

 

テガフールは体内で徐々に代謝拮抗型抗がん剤5-FUに変わります。   ギメラシルは5-FUの分解を抑制します。  オテラシルは5-FUの消化器系の副作用を軽減します。

 

 

胃癌、結腸・直腸癌、頭頸部癌、非小細胞肺癌、切除不能乳癌、膵癌、胆道癌が日本での適応症です。

 

 

テガフールは5-FUの誘導体で体内で5-FUに変換される白色の結晶性粉末で分子量200.17の低分子化合物です。

ギメラシルは白色の結晶性粉末で分子量145.54の低分子化合物です。

オテラシルカリウムは水溶性改善のためカリウムとされた白色の結晶性粉末で分子量195.17の低分子化合物です。

 

ABEMAプレミアム

 

作用機序

TS-1は、三成分を含有する製剤であり、経口投与後の抗腫瘍効果は体内でテガフールから徐々に変換される5-FUに基づいている。

ギメラシルは主として肝に多く分布する5-FU異化代謝酵素を選択的に拮抗阻害することによって、テガフールより派生する5-FU濃度を上昇させます。

オテラシルカリウムは経口投与により主として消化管組織に分布してorotate phosphoribosyltransferaseを選択的に拮抗阻害し、5-FUから5-フルオロヌクレオチドへの生成を選択的に抑制し。その結果TS-1投与により5-FUの強い抗腫瘍効果を損なうことなく消化器毒性が軽減されると考えられています。

(添付文書参照)

 

プロドラッグであるテガフールが5ーFUに変換されて抗腫瘍効果を発揮するのですが、ギメラシルはその効果増強に、オテラシルはその副作用を軽減させます。

 

臨床試験

TS-1(FT80~150mg相当量/日)、1日2回分割経口投与による臨床成績を集計した結果、奏効率は胃癌46.5%(60/129例)、結腸・直腸癌32.6%(42/129例)、頭頸部癌34.1%(29/85例)、非小細胞肺癌(未治療例)18.2%(18/99例)、手術不能又は再発乳癌21.8%(12/55例)、膵癌32.2%(19/59例)、胆道癌(乳頭部癌、胆嚢癌及び肝外胆管癌の化学療法未治療例)30.5%(18/59例)でした。

(添付文書参照)

 

それぞれのがんに高い奏効率を示しています。

 

 

副作用

副作用評価可能症例は578例であり、副作用発現率は87.2%(504例)でした。

また、前治療(タキサン系抗悪性腫瘍剤)を有する手術不能又は再発乳癌(前治療有乳癌と略す)、膵癌及び胆道癌では、副作用発現率がそれぞれ96.4%、98.3%及び94.9%と他の癌腫に比較して高かった。

また、膵癌では重度の発現率も高く、特に食欲不振・悪心・嘔吐・下痢等の胃腸障害で顕著でした。

臨床上重要な副作用としては、白血球減少、好中球減少、ヘモグロビン減少、血小板減少、AST上昇、ALT上昇、食欲不振、悪心、嘔吐、下痢、全身倦怠感、口内炎、色素沈着、発疹などでした。

また重大な副作用としては、骨髄抑制、溶血性貧血、DIC、劇症肝炎、脱水症状、重篤な腸炎、間質性肺炎等がほうこくされています。

(添付文書参照)

 

代謝拮抗性抗がん剤5-FUにもみられる副作用です。

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FASHIONWALKER (ファッションウォーカー)

製剤

ティーエスワン™配合カプセルT20   テガフール20mg、ギメラシル5.8mg、オテラシルカリウム 19.6mgを配合したカプセル剤

ティーエスワン™配合カプセルT25    テガフール25mg、ギメラシル7.5mg、オテラシルカリウム 24.5mgを配合したカプセル剤 

ティーエスワン™配合顆粒T20      テガフール20mg、ギメラシル5.8mg、オテラシルカリウム 19.6mgを配合した顆粒剤

ティーエスワン™配合顆粒T25      テガフール25mg、ギメラシル7.5mg、オテラシルカリウム 24.5mgを配合した顆粒剤 

ティーエスワン™配合OD錠T20   テガフール20mg、ギメラシル5.8mg、オテラシルカリウム 19.6mgを配合したOD錠

ティーエスワン™配合OD錠T25      テガフール25mg、ギメラシル7.5mg、オテラシルカリウム 24.5mgを配合したOD錠

朝食後及び夕食後の1日2回、28日間連日経口投与し、その後14日間休薬します。 これを1クールとして投与を繰り返します。

40mg/回からはじめ75mg/回まで増量して用います。

薬価

ティーエスワン™配合カプセルT20    523.7円/カプセル

同ジェネリック           251.8~268.6円/カプセル 

ティーエスワン™配合カプセルT25    631.3円/カプセル

同ジェネリック           299.2~344.8円/カプセル

ティーエスワン™配合顆粒T20    674.4円

同ジェネリック               304.8円 

ティーエスワン™配合顆粒T25    809.4円

同ジェネリック           398.4円

ティーエスワン™配合OD錠T20  523.7円/錠

同ジェネリック          251.8円/錠

ティーエスワン™配合OD錠T25  631.3円/錠

同ジェネリック         251.8~344.8円/錠

 

1日2回テガフールを75mg/回服用した場合  28日/月投与した場合

 

先発       106058.4円/月

ジェネリック   50265.6~57926.4円/月

最後に

日本生まれの抗がん剤ですが、現在でも世界中で広く用いられています。

 

本ブログのメインテーマでもあるいわゆる分子標的薬ではなく、古典的な選択性のない抗がん剤ですが、分子標的薬は効果の出る人とでない人がいるため、今後も広く使われ続けていくと思われます。

 

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