抗体医薬の紹介もだいぶ進んできました。  マウス抗体をそのまま用い、少ない投与量で作用を発揮させるために放射性同位体と結合させたもの。   初期のリウマチ治療薬の様にキメラ抗体として発売されたお薬。

 

 

   そして、ヒト化抗体さらに完全ヒト抗体へと発展していきます。   ただヒト抗体に関してはヒト由来の細胞や、サイトカインに関しては、ヒトは抗体を作らないので、単純にヒト化抗体→ヒト抗体というわけではありません。

 

 

   今日紹介する、タラスツズマブはヒト化抗体ですが、HER2蛋白に特異的に結合することで抗腫瘍効果を発揮します。

 

   まず、HER2蛋白とはなにかですがHER2はHuman Epidermal Growth Family Recepterに属するタンパク質です。   正常細胞の表面に分布しており、細胞の増殖及び分化等の調節機能を持っていますが、HER2遺伝子が過剰に存在する細胞は、細胞の増殖、分化の制御が不能となり、悪性化してしまいます。

 

 

    トラスツズマブはこのHER2タンパク質に特異的に結合し、悪性化した細胞の増殖を阻止します。   トラスツズマブはウシの脾臓由来成分を含む培地を用いて製造され、HER2過剰出現が確認された、乳がんおよび胃がんの治療薬として用いられます。

 

 

 

   選択的結合部位はHER2蛋白ですが、結合したトラスツズマブはNK細胞や単球を作用細胞とした抗体依存性細胞傷害作用(ADCC)により抗腫瘍効果を発揮します。