こんばんは、きよし弁護士です(弁護士細川潔、埼玉弁護士会、37962)。
以下のような記事を見かけました。
いじめ自殺の疑い、弁護士検証で新たに3件 横浜市立校で過去10年
https://news.yahoo.co.jp/articles/0009c4769152907e1c6ec1e734cece32288bf159
7/26(金) 7:00配信 朝日新聞DIGITAL
この記事の中で「学校側による『基本調査』の不十分さが明らかになった」とありました。
子どもの自死に関する「調査」について、少し整理してみたいと思います。
まず、子どもの自死に関しては、「子供の自殺が起きた時の背景調査の指針」が出ています。
これによりますと、子どもの自死または自死が疑われる死亡事案においては、基本調査が行われます。
基本調査は、事案発生(認知)後速やかに着手され、学校がその時点で持っている情報及び基本調査の期間中に得られた情報を迅速に整理するものです。
基本調査の主体は学校が想定されており、遺族との関わり・関係機関との協力等、指導記録等の確認、全教職員からの聴き取りが行われ、亡くなった子供と学級や部活動などにおいて関係の深かった子供への聴き取り調査も適切に実施されます。
次に詳細調査です。学校の設置者は,基本調査の報告を受け,詳細調査に移行するかどうかを判断します。
全ての事案について詳細調査に移行することが望ましいですが,難しい場合は,少なくとも
次の場合に詳細調査に移行するとされており、
ア)学校生活に関係する要素(いじめ,体罰,学業,友人等)が背景に疑われる場合
イ)遺族の要望がある場合
ウ)その他必要な場合
の場合は、詳細調査に移行すべきとされています。
つまり、ア)~ウ)に当たる場合は、再調査を行わなければならないということになります。
なお、ア)に「いじめ」というキーワードがありますが、いじめが背景に疑われる場合は,いじめ防止対策推進法上の「重大事態」(同法28条)としての対応が確実に行われることが必要であるとされています。
いじめ防止対策推進法では、28条に「学校の設置者又はその設置する学校は、次に掲げる場合には、・・・速やかに、当該学校の設置者又はその設置する学校の下に組織を設け、質問票の使用その他の適切な方法により当該重大事態に係る事実関係を明確にするための調査を行うものとする」と条文の中に調査を行うことが規定されています。
「次に掲げる場合」の中に「いじめにより当該学校に在籍する児童等の生命、心身又は財産に重大な被害が生じた疑いがあると認めるとき」とあり、自死は「児童等の生命に重大な被害が生じた場合」にあたるので いじめ防止対策推進法における調査が行われるという訳です。
なお、当初からいじめによる自死と疑われる場合は、当初よりいじめ防止対策推進法における調査が進められるということになります。
①当初は原因が分からず→基本調査→いじめ以外のア)~ウ)→詳細調査
②当初は原因が分からず→基本調査→いじめ→いじめ防止対策推進法の調査
③当初からいじめとわかっていた→いじめ防止対策推進法の調査
このような感じになるのかと。
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