こんばんは、きよし弁護士です(弁護士細川潔、埼玉弁護士会、37962)。
カスタマーハラスメント(カスハラ)については、労働組合の調査があったり、厚労省から「カスタマーハラスメント対策企業マニュアル」が出されたりしていましたが、いよいよ労災認定の基準に追加されることになりそうです。
「カスハラ」が新たに労災認定の基準に追加 “顧客や取引先からの迷惑行為”がストレスに 厚労省
「カスハラ」が新たに労災認定の基準に追加 “顧客や取引先からの迷惑行為”がストレスに 厚労省 | TBS NEWS DIG (1ページ)
記事によりますと、
「仕事の強いストレスなどが原因で精神障害となり、労災に認定された件数は昨年度710件と過去最多を更新していて、ストレスとなる原因には顧客や取引先からの迷惑行為、『カスハラ』もあると指摘されています」
「これらを受けて厚労省の検討会は4日、報告書を公表し、精神障害の労災認定をするか判断する基準として、新しく『カスハラ』を加えることを提言しました」
とのことです。
厚労省の検討会の提言なので、カスハラが労災認定の基準に加わることは確実でしょう。
顧客や取引先からの迷惑行為はちまたでも問題になっており、調査や対策マニュアルが出ていることから、労災認定の基準となることは時間の問題だったと思われます。
気になっていることが一点。
カスハラ行為を受けて自死という自体が起こった場合、労災認定基準を満たせば、遺族保障年金等は支給されるでしょう。
では、損害賠償はどうなるのか。
カスハラの場合、カスハラ行為を行ったのは顧客や取引先なので、基本的には、相続人が顧客や取引先に損害賠償請求を行うことになるでしょう。
では、被災者の使用者は損害賠償責任を負わないのか。
参考になる裁判例がありました。
千葉地裁松戸支部平成28年11月29日判決
原告(被告学園が経営する大学で英語の非常勤講師)が生徒から授業に臀部を触られるなどしたため多大な精神的苦痛を被ったとして損害賠償請求をした事案。
裁判所は、被告学園による不十分な調査や、被告学園による不十分な措置について、労働契約上の義務違反が存するといわざるを得ないと判断しました。
典型的なカスハラとは少し異なる事案かもしれませんが、カスハラに関する裁判例は多くないことから、参考になるものでしょう。
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