読書記録 新書3冊ダイジェスト | *(aster)-sphere Laboratory

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*-sphere Lab.は、理系女子の生活に面白さを掛け算(*)したくて設立しました。
所長猫の朔さんと書斎室長のお隈ちゃん、研究員の清霜によって、
読書、鉱物、ハンクラ、世渡りにおける成功と失敗ネタを中心にお届けしています。


  毎度ご無沙汰しております清霜です。


  6月は相次ぐ地方出張(全て日帰り)による気疲れ、7月からは暑さのために更新する気力が湧きませんでしたが生きてます。いろいろ悩ましい出来事も舞い込みますが、社会人としてはちゃんと活動できているし、おキャット様たちも元気ですのでご心配なく。

  それにしてもあっつい!  ここのところエアコンはほぼ24時間稼働させている状況なのですが大丈夫かな。もし壊れでもしたら生命に関わる暑さですよ。もう冷房なしには住めない土地になりつつあるって怖いな。


  さて、今回は最近読んだ本について手短に。読んだ順に書いていきます。




全て今年の5月以降に出た本です。


■ 1冊目
『思い出せない脳』
澤田 誠 著
講談社現代新書

  興味があったからではなく、この本に知人が関わったと聞いて購入しました。
  まえがきにもあるように、脳の中で記憶がどんな仕組みで作られ定着するのか、感情と記憶の関係、「覚える」「忘れる」「思い出せない」のメカニズムについて現在までに解明されていることが、短編小説を交えてわかりやすく記されています。これまで本やテレビで断片的に見聞きした脳の仕組みを、記憶が生まれるところから通して説明されるので、いろいろと腹落ちしました。
  読んだら即役立つというより、後からジワジワ知識が効いてきそうな部類の本です。


■ 2冊目
『逆境を生き抜くための教養』
出口 治明 著
幻冬舎新書

  かねてから出口さんの本は手に取ることが多かったわけですが、2021年の初めに脳出血を起こされて、今後どう活動されるのか気になっていたので。あの明快で小気味よい文章を紡げるのか、そして生活が一変するような病気になって、人生観など変わられたかのも興味がありました。
  結論としては、文章も、ポジティブな見方にもほぼ変わりなしでした。後遺症はあるので執筆にはライターさんが加わったそうですが、そうと感じさせない、これまでの著書と同じくスイスイ読める文章でした。
  障がい者(電動車いすユーザー)になったことによる発見だとか、直近の世界情勢を過去の歴史を参考にしたときの解釈などを、「逆境」という切り口で綴られていきます。純粋に面白かったし勉強になりました。そして知識って大事ね。
  

■ 3冊目
『問題はロシアよりむしろアメリカだ』
エマニュエル・トッド、池上 彰 著
朝日新書

  昔紹介したトッド氏と、テレビでおなじみの池上さんの対談です。
  なかなかショッキングなタイトルですが、私は別に反米ではないですよ。過去のトッド氏の本で思いもよらない解釈を与えてもらったことから、ロシアのウクライナ侵攻についてもトッド氏がどう捉えているのかは前々から気になっていたのですよ。すでに1年ほど前に別の著書が出ているのは知っていたのですが、それは読む気分になれないままで、今回池上さんとの対談なら気分落ち込まずに読めそう、と思って。


  読んでみて、やっぱり新しい解釈を与えてもらえたというか、日本や西側のメディアでは目にしない見方をゴリゴリ語っていて、凝り固まった考えに風穴を開けてもらった気持ちになりました。もちろん、本の中でトッド氏が何度も言っているように、何が正しいかは10年ぐらい経たないとわからないのだけど。
  ウクライナの戦局もこう着しているし、取り巻く世界各国の関係もこわばった状態が続いていて、私はウンザリしてたんだろうなぁ。そこでスパーンと「こういう解釈もあるよ」と提示してもらえたので、情勢は何も変わっていないのだけどスッキリした感じ。そういう意味ですごく面白いし、対談なのもあって一気読みしました。