「お母さんの話を聞いて

子ばらはどう思う?」

 

「そうだなって思うけど

・・・・・

2月に付き合って4年経って

それだけ一緒にいて

簡単にそれじゃ別れるって

言えるほどの関係ではないよ」

 

「・・・それはそうだね」

 

「でもいろいろ考えてみようとは思う」

 

「そうだね」

 

「・・・それで

子供をどうするかは帰って

りえちゃんと再度話すけど

もしも明日手術することになったら

その費用が今なくって」

 

「いくらなの?」

 

「17万」

 

「ふぅ

17万もないってどんな生活してるのよ」

 

「りえちゃんのお母さんには

断られたらしいから

お母さんにどうにかできないか

聞いて欲しいと言われて」

 

「・・・」

 

「迷惑をかけたくないから

こんなこと言いたくなかったんだけど

夏のボーナスがでたら全額返せるし

でもボーナスを待っていたら手術ができなくなるから」

 

「そうだね」

 

「もしも難しいなら他でとも考えてるけど」

 

「・・・」

 

「ごめん、迷惑ばかりかけて」

 

「後で口座番号をLINEで送って

20万でいい?」

 

「いいの?20万助かる」

 

「その代わり夏のボーナスで

一括で返済することと

ネットにフォーマットがあるから

今回の内容に変更して借用書を作って

LINEのノートに張り付けて」

 

「分かった

口座番号と借用書

帰りの電車ですぐやる」

 

「確認したら今日中には振り込むから」

 

「助かるよ、ありがとう」

 

 

 

「これは変なところでお金を借りられたら

困るから一時的に貸すだけだからね」

 

「分かってる」

 

 

 

「勘違いして欲しくないけど

人を殺すために渡すお金じゃないからね」

 

そう言った瞬間に涙がぽろぽろこぼれた

 

 

悲しいやら

悔しいやら

情けないやら

 

 

自分の命をかけて守り抜いた

最愛の息子の子供を

殺すための費用を

私が出すことになるなんて

 

 

「本当にごめん」

 

 

こんな子ばらの謝罪なんて

聞きたくなかった

 

つづく