3月中旬に子供ができた報告を受け

4月には入籍し11月には赤ちゃんを

迎える予定だったはずなのに

 

お金がないから『断念』する

 

子ばらの言葉も

りえちゃんの思いも

りえちゃんのご両親の考えも

全て理解ができなかったから

 

顔合わせや入籍する前に

はっきりさせたい

 

そんな気持ちで話してきました

 

 

 

「なんで私服なの?」

仕事帰りの月曜なのに

スーツじゃない子ばらを見て言うと

 

「りえちゃん、体調悪いから

今日は休みを取って病院に付き添った」

 

「つわりひどいんだ?」

 

「うん、それもあるけど、いろいろ」

 

席に案内され

ハンバーグをオーダーしてから

 

「まずは二人で話してどうして

断念することになったのか聞きたい」

 

「うん、、、

2月にプロポーズをして結婚も決まって

だから子供ができてもいいよねと

話しててそのときは12月から働き始めた

仕事を続ける予定でいたんだけど3月に

管理する人が変わって劣悪な環境になって

どうしても耐えられなくて続けるのが厳しい

からと辞めた次の日に妊娠が発覚して

その時はなんとか産んで育てる方向で

話し合っていたんだけど普通の人より

つわりも酷いみたいで入院した方がいいと

言われてそんな状況だと仕事も探せないし

入院するお金もないしだったら

諦めた方がいいのかなってお母さんや

りえちゃんの親御さんに相談をしたんだよね」

 

「りえちゃんは本当はどうしたいの?」

 

「昨日は諦めることで気持ちを固めて

親御さんに話に行ったんだけど

実は今日手術の予約をするために病院に

行って費用を聞いたら思ったより高かった

から産んだ方がいいのかもってりえちゃんが

言い始めてて、今日の夜再度話し合うことに

なってるんだけど産みたいって言ったり

諦めるって言ったり日によって変わるんだよね」

 

「・・・そっか

子ばらはどうしたい?」

 

「俺はりえちゃんの気持ちを

尊重したいと思ってる

産むにしても産まないにしても

でも現実的に俺の稼ぎだけだと

子供を育てることは厳しいと思うし

役所で子育てのための貸付があるから

低金利だしいざとなったら頼ろうかとも

考えたけど産まれたら俺も産休1年半

取るからその間ボーナスがでなくなるし

手取りも20万くらいになってしまうし」

 

「育休?

なんで子ばらが1年半も取るの?」

 

「りえちゃんが一人で

子供を育てるのが大変だって」

 

「子ばらあまり残業もないし

土日もちゃんと休めるし

りえちゃんは働いてないわけだし

これがりえちゃんも仕事復帰する

とかなら分かるけどお金がない状況で

一人で子育てが大変だから子ばらも

1年半産休取るなんておかしいよ?

まずは働いてお金を稼ぐことが先でしょ?」

 

「・・・確かに、そうだね」

 

「・・・りえちゃんのご両親はなんて?」

 

「納得はしてないけど

仕方ないって感じ

昨日はもう諦めている前提で話を

したから2人で決めたことならって」

 

「助けてくれる感じはないんだ?」

 

「お父さんは働いてないし

お母さんはバイトだし、今の生活も

結構厳しいから今住んでいるマンションを

売って安い賃貸に引っ越すかもと言ってて

うちは一緒に暮らせる状況ではないから

俺のお母さんに援助してもらって暮らしたら

どうかってあちらの親御さんには言われた」

 

「援助どころか自分たちの生活も

いっぱいいっぱいってことなんだね

お父さん元経営者じゃなかったけ?

会社はどうしたの?」

 

「個人事業主で経営はしてない

一人親方って感じ」

 

「じゃ国民年金しかもらってないのかもね」

 

「たぶん」

 

「お家を売っても

75歳の年金暮らしと

パートしかしていないフィリピン人の

お母さんに誰も貸してくれないと思うし

もしもお父さんが亡くなったら

お母さんは一人で生きていけないと思うよ」

 

「そうだよね」

 

「りえちゃんのご両親が『断念』

することになんで同意したのか理解した」

 

 

お父さんが50代のときに

産まれたりえちゃん

 

可愛い可愛いで育てられたけど

 

いざとなったら力にはなってもらえない

 

高齢で子供を持つ難しさを

改めて感じた

 

つづく