お湯が溜まって

二人でお風呂場に行き

体を洗っていい感じに

なってきたときに

 

「クション」

くしゃみが出始めた

 

「寒いの?」

「寒いのかな

なんか寒い気がしてきた

一旦温まるね」

 

そう言ってお湯につかるけど

 

「クション」

くしゃみが止まらない

 

「もう少しお湯

熱くした方がいんじゃない?」

 

「ぬるくはないんだけど」

 

お湯の温度を上げても

くしゃみが止まらない

 

「入浴剤が良くなかったかな?」

「そんなことある?」

「一度全部お湯抜いて

入れ直そうかな」

「そしたら寒いから一度出たら」

「ごめん、そうする」

 

出て部屋のガウンを着て

寒くないけどくしゃみが

止まらないからベッドに入った

 

「寒いの?体調悪い?大丈夫?」

 

「寒くないんだけど

くしゃみが止まらないんだよね

お酒飲めば治るかも、サワー頼むね」

 

ベッドに入るとくしゃみと

鼻水もずるずる出始めて

 

「もしかしてだけど

ハウスダストかも」

 

「ハウスダスト?」

 

「部屋の埃やカビに反応してるのかも

普段全然敏感じゃないんだけど

フクさんはなんともない?」

 

「俺は何も感じないね」

 

「そうなんだ」

 

「お風呂入らない方がいい?」

 

「お風呂が一番しんどかった」

 

「じゃ残念だけどやめておこうか」

 

「ううん、大丈夫!

フクさん楽しみにしてたし」

 

「でも辛そうだから

無理しなくていいよ」

 

「全然無理してないよ

お風呂溜めてくるね」

 

本当はくしゃみも鼻水も

すごくキツかった

 

でもその日は年に一度の

そして二人にとってはじめての

フクさんのお誕生日

 

楽しみにしてくれていた

ラブホテル

 

お風呂に再度入って

フクさんの要望に応え

 

ベッドでえっちをして

 

ふぅーと落ち着いたのは1時過ぎ

 

そこから夜行性のフクさんは

部屋にあるマッサージチェアをはじめ

 

くしゃみと鼻水とそれにプラス

目のしぶしぶで涙が出る中

マッサージチェアの機械音と

ピンクの落ち着かない照明に

眠れない夜を過ごした

 

つづく