西武ドームで行われたAKB48の全国握手会で童貞の心を取り戻すつもりが
最終的に菊池あやかさんから精神攻撃を喰らわされ
失意のどん底に陥るも仲間に助けられ
仲間の素晴らしさを痛感し
つん太郎さんからバックステージ(バクステ)に行くぞ!と指令が下った後の話…

AKB48の全国握手会を終えた
俺とつん太郎さんと光慢カリ之助君とラ・フランス君の4人は秋葉原へと向かった。

アイドル育成型エンターテイメントカフェAKIHABARA バックステージpassへ行く為だ…

アイドル育成型エンターテイメントカフェAKIHABARA バックステージpass
通称「バクステ」

俺は、一度も行った事はなかった…

どうやらつん太郎さんと光慢カリ之助君とラ・フランス君の3人は
この日の前日も同様にAKB48の握手会からのバクステという流れでヲタ活を楽しんだ様だ…

バクステ…完全に未知の領域だ…

恐い…

恐いよ…

今…俺は、アイドルが恐い…

アイドルは俺みたいなヤツに非常に冷たい…

最初から俺みたいなやつにも優しく接してくれて弾けられたアイドルは…

SDN48の野呂佳代さんと元SDN48のなちゅさんだけ…

まぁ…この二人がアイドルという存在なのかは不明だし…
なちゅさんに関しては見た目、完全にGALだし…

でもなちゅさんは…こんな俺を釣ってくれたんだ…

ヲタ活し始め三年間で俺みたいなどうしようもない童貞RESPECT野郎
唯一釣ってくれたのは、なちゅさんだけ…

その他に接触した数々のアイドルは基本、俺に冷たい…

菊池あやかさんに至っては精神攻撃まで仕掛けてくる始末…

だから恐い…アイドルが…

恐いんだ…アイドルと接触するのが…

アイドルとの接触は俺にとってもう…恐怖でしかない…

恐いなぁ…恐いなぁ…と思っていると気付けば、俺達はバックステージのあるビル…
「AKIBA カルチャーズZONE」の前に辿り着いていた…

このビルの6階のバクステはあるらしい…

つん太郎さんが慣れた足取りでビルに吸い込まれていく…

俺達もつん太郎さんの後に続く…

つん太郎さんが慣れた手つきでエレベーターのボタンを押しエレベーターに吸い込まれていく…

俺達もつん太郎さんの後に続く…

バクステにある6Fにつき、エレベーターが開く…

エレベーターが開くとすぐ目の前にバクステがあった…

バクステ…
100名以上の「アイドルキャスト」が在籍しており、ヲタクにはプロデューサーとなって、お気に入りのキャストを応援・育成・プロデュース(推し≒投票)するという物らしい…

このバクステに行くと架空の芸能事務所「ル・アイド芸能社」の社員プロデューサーになるという設定で社員証を作成させられる…

最初に作成する社員証の肩書きは「アシスタントプロデューサー」で、ここから実績(PVポイント)を積んで「肩書きランク」を上げる事も出来るという物らしい…

最初の肩書きはアシスタントプロデューサー。
そこから、セミジュニア→ジュニア→シニア→チーフ→ゼネラル→ウルトラ→カリスマ→ミラクル→エグゼクティブ→超プロデューサー
という順に昇進していくようだ…

昇進に必要なこのPVポイントの貯め方は、社員証を持ったヲタクがバクステに通いまくり店舗で使った金(飲食やグッズ)の分だけポイントつく…
500円につき1PVを獲得する事が出来る様だ…

それとは別にネット上から自分の推しへ投票出来る“クレジット”という物がある…
1回来店する毎に1クレジット、公式サイトにログインすると1日1クレジット貰える様だ…

また限定メニューや、グッズ、イベントのチケット等を購入しそのレシートについている
クレジットコードを読み込みしてもクレジットは貰える模様…

1クレジットで推しへ1投票できる…

新規登録のヲタクは100クレジットが自動的に貰える…
その為、気に入った娘がいれば、すぐに100票分入れられる…

ちなみにヲタクの肩書きがあがれば上がるほど、1投票の価値が上がり
最高ランクの超プロデューサー”になれば、1票で20票分の投票した事になる様だ…

説明が分かりずらくて申し訳ない…もしこのシステムやバクステに興味がある方は…
下記URLに詳しく載っております…
http://backst.jp/system/

エレベータを出ると可愛い制服を着た童顔の女の子が出迎えてくれる…



ひぇぇぇぇ!!

アイドル恐怖症の俺は、咄嗟につん太郎さんの後ろに隠れた…

店に入る…

4人の席は空いてないという事で2:2で別れて座る事になった…

俺とつん太郎さん。光慢カリ之助君とラ・フランス君。で別れて座った…

店は、想像以上に綺麗で安心する…


雰囲気はこんな感じだ…

席に着くと俺は、新規客の為、
上記に記載した様なバクステについての説明を
キャストのアイドルが一生懸命説明してくれる…

一生懸命説明してくれているがその娘の説明の仕方が下手なのか
俺の理解力が乏しいからなのか全く理解できなかった…

料金は
テーブルチャージ…600円/1時間 + 1ドリンク
延長…300円/30分 + 1オーダー

という感じでソフトドリンクなら1時間チャージ料金も含め1000円だ…

お酒も飲めるしもちろん食べ物もある…

ちょくちょく生LIVEもやるので、アイドルのステージを見ながら飲み食い出来る…

ただ…タバコは吸えない…

喫煙所もない…

喫煙者の人は長時間いるのは結構厳しいだろう…

LIVEをしていない時は、アイドルキャストが店員さんとしてそこら中を歩き回っている…

ヲタク達はお気に入りの娘を呼びとめてはそこら中で、話をしている…

バクステについての説明も終わり、社員証に記載する名前を書いてほしいと言われた…

名前はカタカナで確か10~12字程度で記載して欲しいという事だったと思う…

俺は、「チ○ポコカンチョウ」と記載しアイドルキャストにその用紙を渡した…

『ホントにこれで良いんですか?』

俺の記載した名前を見てアイドルキャストが聞いてくる…

「それで…良い…」

自信満々で答えた…

アイドルキャストが俺の用紙を持っていく…

しばらくするとデブの白シャツネクタイの男性スタッフが来る…

『このお名前はちょっと…
ネットとかにも載るものになりますので…
書き直してもらえますか?』

ネットとかに載るなら…尚更、その名前しかねぇだろ!?
俺は…佐藤すみれさんから“ち○ぽこ”と呼ばれる男だぞ!
倉持明日香さんも名乗ったら笑ってくれたんだぞ!
と思ったがそこは俺も、もうおじさんの領域に入っている男なので
「すいません…」と謝り、書き直す事にした…

いざ書き直せと言われると何も思い浮かばない…

適当に“ピルクルタロウ”と記載した…

今思えば“タカザスパ”と記載して出せば良かったと猛省している…

社員証の件が一段落し辺りゆっくりと見渡すと…

俺の網膜を物凄い勢いで刺激する娘がいた…

な…なんだ…!?

あの娘は…!?

あの娘もアイドルキャストなのか…!?

凄い!

胸が高鳴る…

でも…アイドルは恐い…

でも…あの娘なら…俺は…頑張れる気がする…

俺は…気付くと…その娘ばかりを目で追っていた…

新規の俺がいる為か…
もしくはつん太郎さんのただならぬヲーラに引き寄せられてかは不明だが
何人かのアイドルキャストさんが推してもらおうとしてか
俺とつん太郎さんの机にやってきた…

アイドルキャストも店員なのでもちろん長くは話せない…

アイドルとは握手をし1対1で話すというのが基本の接触しかしてこなかったから
つん太郎さんと一緒にアイドルと三人で話せるの面白いと思った…

もう…ちょっとしたキャバクラみたいな物だ…

涼宮ひなのちゃんって娘がやって来た時はちょっと弾けた…

(涼宮ひなのちゃん)

『何で知ってきたんですかぁ~?』

突然俺とつん太郎さんの座るテーブルに髪の明るいアイドルキャストが寄って来た…

彼女のつけているネームプレートを見る…

涼宮ひなのと記載されている事、確認する…

「そりゃあ~もちろん
涼宮ひなのちゃんって娘に会いたくて来たんだよ。

『えっ…』

涼宮ひなのちゃんが突然猛烈に困り始める…

「いや…だから
涼宮ひなのちゃんに会いたくて来たんだよ。
いやぁ~ホントに可愛いわぁ~。


『アリガトウゴザイマス…』

信じられないくらいの物凄い棒読みの感謝の言葉が俺の鼓膜を刺激する…

そして一瞬の間が空き、俺とつん太郎さんの目が合い、爆笑する…

「めっちゃ心こもってないっしょ!?」

つん太郎さんが
涼宮ひなのちゃんに突っ込む。

『だって…もの凄い…くさいんだもん…』

涼宮ひなのちゃんのこの返答にまた俺とつん太郎さんは爆笑する…

爆笑しながら痛感する…

今まで…数々のアイドルが俺の発言に凄まじい苦笑いという洗礼を浴びせてきたのは…
俺がくせぇからなんだ…という事に…

『で!ホントは何きっかけで来たんですか?』

俺は、もう1度、
涼宮ひなのちゃんに会いたくて来たと言おうか迷ったが
さすがにしつこいしまた困らせちゃうなと思い…
「彼(つん太郎さん)が昨日ここ(バクステ)に始めて来て今日、俺は連れて来てもらったんだよ。」

『そうなんですか!』

「彼(つん太郎さん)は名プロデューサーだからね!」

俺はつん太郎さんのを方を指差して言った…

『でも…なんか…私が去った後、二人で…私の悪口言ってそう…』

再度、俺とつん太郎さんは爆笑した…

その他にもこのバクステのシステムとかTwitter等の話をした…

この娘はドリンクか何かを持ってくる時にも俺たちの席に再登場しその時に
『また来たって思いましたぁ!?』
と言って登場してきたりと俺達を楽しませてくれた…

ただ…俺には…どうしても気になる娘がいた…

涼宮ひなのちゃんとつん太郎さんと3人で楽しく話してる時も
やっぱりその娘が気になって仕方ない…

LIVEが始まるとステージ上と通路でアイドル達が歌って踊ってくれる…


雰囲気はこんな感じだ…

物凄い近くでパフォーマンスしてくれるので近くに来たアイドルを直視すれば
レスがほぼ間違いなく来る…

ただ…俺は、バクステのキャスト達をだんれも知らない…
目が合う度にこの娘、誰!?と思っていた…

LIVEが終わり、また通常のカフェに戻る…

俺が気になる娘が近くに来た…

俺は彼女をガン見する…

目が合う…

かっ…可愛い…

恥ずかしくてとても耐えられない…

思わず目を背けた…

すると彼女がどんどん俺達のテーブルに近づいてくる…

うおおおおおおおおおおおおおお!

きてあああああああああああああああ!!

俺の憧れの娘が俺達のテーブルに来た…

胸壁を突き破る程に高鳴りまくる鼓動…

震える手足…

今、俺の目の前にあの娘がいる…

見れない…

緊張する…

どうしよう…

何か話さなきゃ…

でも何を話せば…

嫌われたくない!!嫌われたく・・・ないよ!!

まずは…名前だ…

名前を確認しなきゃ…

勇気を振り絞ってネームプレート見る…

えっと…名前は…「ADなぎさ」

ADなぎさ!?

すげぇ…

名前もドエレー“COOL”じゃん…!?

そのまま視線を彼女の顔の方へ向ける…

(ADなぎさちゃん)

くぅ~~~~~!!やっぱ可愛いいいいいいいい!!

半端ねぇ!

「可愛いいいいいいい!!」

俺は、思わず叫んだ…

何度も連呼した…

もう可愛い以外の言葉が浮かんで来なかった…

しかし彼女は何当然の事言ってんだ的な顔していた…

そりゃ…そうだ…彼女からしたら“可愛い”なんていう言葉は聞き飽きた
ありきたりな言葉なのだろう…

「ADなぎさちゃんはいつから(この仕事)やっているの?」

俺は勇気を出して彼女に聞いた…

『えっ!?いつからADなぎさかだって!?…産まれた時から!』

うおおおおおおおおおおおおお!

かっ…かっけぇ…

“CUTE&COOL”…まさにそんな言葉がぴったりの娘だ…

その後もなんとか頑張って話したが結局…
俺は、最後まで彼女を笑わせる事が出来なかった…

もちろん
ブスで情けなくて臆病で貧乏で短小包茎な俺が
これ程の女を最初から攻略出来るなんて思っていない…

それでも…彼女の笑顔を俺は見てみたかった…

俺が彼女を笑わせてみたかった…

そろそろ入店してから1時間が経とうとしている…

楽しい時間はあっという間だ…

延長する事も出来るが俺はADなぎさちゃんに逢えて…
少しだけだけど、話せてもう胸が一杯だった…

俺達は席を立ち、伝票を持ってレジへと向かった…

レジにいる娘が俺の会員証を見て俺に笑みを浮かべて話しかけてくる…

『あぁ!!さっき変な名前書いてましたよね!? あれは駄目ですよ!!』

アイドルってやつは…どいつもこいつも…
ホンットに“ち○ぽこ”という単語が大好きだな…と思った…

それから少しだけそのレジにいたアイドルキャストと話した…

その娘の名前は確認出来なかったがピルクルが嫌いだという事と
便秘じゃないという事だけは分かった…

バクステを出る…

また一緒にヲタ活をしようと固い誓いをたて光慢カリ之助君とラ・フランス君と別れた…

つん太郎さんと俺は二人で勝手に“イタリア”と呼んでいる飲食店に入った…

ADなぎささんと涼宮ひなのさんと田野優花ちゃんとの話に華が咲いた…

ADなぎささんと出逢えた奇跡と喜びを噛みしめて作ったばかりの社員証と共に写真を撮った…


イタリアを出ると秋葉原の煌くネオンの灯りが俺の視界に飛び込んでくる…

ふと夜空を見上げる…

ヲタ神様…教えて…

どうしたらこの想いは彼女に届くのですか?

もちろん答えなんて返ってこない…

Twitterに俺の想いを書きこみ呟いた…

そして…奇跡が起きた…


ありがとう…

最高の奇跡をありがとう…

ヲタ神様…


あの日から、俺はずっと嘘を付いていた…
ヲタ活しているって嘘を…
名前も嘘…経歴も嘘…嘘ばっかりだ… 
まったく変わらないヲタク世界に飽き飽きして…
でも嘘って絶望で諦めることもできなくて…
だけど見つけた!
“ADなぎさ”という一輪の薔薇を!!


運命(Destiny)を感じずにはいられない…

昔…つん太郎さんと話したことがあったっけ…。
ヲタクの向こう側に形があるとしたらそれはどんなだろう…って

それはつん太郎さんが言っていた様にガラスの様なものかもしれない
だって普段は気付かないから…
でも、確かにそれはあるんだ。

その証拠にちょっと見る角度を変えるだけでガラスは光を映し出す。

そこにあるのだと、どんなものよりも雄弁に存在を主張するから…

I do not forget in a lifetime today when it was able to meet you…

I would like to meet you early again…


完!!