田舎の無駄に広い歩道に
おじいさんが電動のシルバーカーに座って
行き来する車を見ていた。
天気が良くて、バイカーが多い日で、
車を目で追う事はしないおじいさんが
バイカーのことは、
身体の向きを変えてまで目で追っていた。
1年前の7月に亡くなった父も
カッコつけた青年だった。
バイクにも乗っていた。
お年寄りは、
当たり前だけど
初めから年寄りだったわけじゃないんだよ。
あのおじいさんも、若い頃は
ああやって、自分もバイクで風を切っていたのかもしれない。
杖に頼って歩くおばあさんも
昔は草をかき分け走り回っていた。
腐るほどあると思っていた時間は
無駄に使えないと思うようになる。
芝の上の羊