前回は、六壬神課(十二天祥星占術)がどういったものかをご説明しましたが、今回は占術で割り出した課式の構成について、ご説明しておきましょう。

陰陽師・安倍晴明が極めた六壬神課(十二天祥星占術)は、1440通りもの運命を占う優れた占術だった!

課式は下記のような構成となっています。

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これらをひとつひとつ説明しておきます。

【課体】
 課体とは、あなたがどんな流れに乗っているか、どんな運命の流れであるのか、どんな行動をしやすいかを湿るものです。
 自分の課体を知ることによって、自分の行動が予測でき、大きな失敗を未然に防ぐことができます。

【一課】
 あなたの性格を示すものです。
 また、同時にあなたの裏の性格も示されています。
 あなたが昼天祥なら昼天祥があなたの性格、夜天祥はあなたの隠された性格です。
 また、あなたが夜天祥なら夜天祥があなたの性格、昼天祥はあなたの隠された性格となります。

【二課】
 あなたを取り巻く環境を示すものです。
 「卜の課式」の場合には、あなたに強い影響力をもたらす家族や友人などを示します。

【三課】
 あなたが生きるうえで克服すべきものや目指すものを示しています。
 ここに示された内容を取り入れることで、あなたの日々の生活や対人の処し方がわかります。
 また、あなたが陥りやすい裏の罠を示しています。
 これは一課と同様、あなたが昼天祥なら夜天祥を、夜天祥なら昼天祥の内容を参考してください。

【四課】
 相手を取り巻く状況や環境を示すものです。
 命トいずれも、あなたではなく相手の状況を示しています。

【初伝】
 あなたの若年運(5歳から25歳ぐらいまで)を示すものです。 
 「卜の課式」の場合には、あなたが現在の願望を抱くきっかけとなったことを示しています。

【中伝】
 あなたの壮年運(20歳から50歳ぐらまで)を示すものです。
 「卜の課式」の場合には、あなたの今の状況、いわば途中経過を示しています。

【末伝】
 あなたの晩年運(50歳以降)を示すものです。
 「卜の課式」の場合には、その願望が達成されるかどうかを示しています。

【六親】
 父母、兄弟、子孫、妻財、官鬼の5つを示すものです。
 課式の中では、父母は父、兄弟は兄、子孫は子、妻財は妻、官鬼は官という丸印で表記されています。
 この5種類に自分を加えて、六親という訳です。
 六親には、
 ・六壬神課の意味合いを補い、
 ・運勢の吉凶を判断する
 という役割があります。
 

【課体 詳細】

1. 元首課
 「元首は上剋下が一つだけで、天地が位を得て万事順調である。」

 四課のうち上から下を剋すものが一つだけの場合を元首課といいます。
 上から下を剋す、つまり君が一人だけで、君臣の関係が正しいため、元首と名づけます。
 この課は大人の課といわれ、えらい人がこの課を得ればいい部下を得、普通の人がこの課を得ればいい上司にあう、とされます。男女関係においては正しく、また仲がよいとされます。


2. 重審課
 「重審は下賊上が一つだけで、臣が君と争う課だが詳しく審査せよ。」

 重審とは下から上を剋すので、君臣が争うという形です。いわゆる下克上です。
 しかし物事を進めるためにはある程度のあつれきはつきものですし、悪い君であればそれは倒さねばなりません。重審と名づける理由は、自分のやろうとしていることが本当に正しいのかを重ねてよく考えるべきである、ということです。よって、重審は単純に吉とか凶とかは言えません。


3. 知一課
 「知一は上下の剋が二つ以上あるが、比を選んで発用とし中を執るのがよい。」

 複数の上剋下、下剋上があった場合に、日干支の陰陽と同じものをとるというのが、知一法でした。複数の剋関係から一を知る(この場合は治めるという意味の方が適切か)ということで知一課といい、それは日干支と同じですから比卦が割り振られています。剋が多いことから物事は善悪が混雑していて、そのなかから一つを選ぶという課です。選ぶにあたっては同類がよく違うものはよくない、物事は和するによく、探しものは近くを探せとあります。


4. 渉害課
 「渉害は比か不比がともにあり、渡って本家に帰るのが困難な最も深いものを発用に選ぶ。」

 課目は渉害法を示したものですが、「九宗法」は別に解説してますのでそれを見てください。渉害課には、見機、察微、綴瑕、比用の4つの格がありますが、いずれにしても上下の相剋が多いわけですから、艱難が多く物事は遅滞してなかなか進みません。この課には坎卦が割り振られています。苦難のあとに成果があるという課ですが、必ず成果があるかどうかは十二天将や日干支の強弱などよくみきわめねばなりません。


5. 遥剋課
 「遥剋は日干と相剋のものであり、蒿矢と弾射があるが勢いは徐々に軽くなる。」

 遥剋というのは日干との相剋関係ですから、主体に対する直接的な関係になるわけです。すなわち、事のおこりは自分に直接降りかかるということで、「雷吼の如く」驚くことになるとされます。しかし、上下の剋関係はないわけですから、事はやがていい悪いは別として収まることになります。この課には蒿矢格と弾射格があります。蒿矢格は日干が剋される場合であり、弾射格は日干が二、三、四のいずれかの課を剋す場合です。この場合、直感的な感じとは逆に、蒿矢格の場合が主体に利があり、弾射格の場合が客体に利があるといわれます。いずれにしても吉将が乗っていないとよくありません。


6. 昴星課
 「昴星は四課や日干との剋もなく、陰は冬蛇掩目、陽は虎視転蓬という。」

 発用を酉の上神もしくは下神(地盤支)をとるので昴星といいますが、この課は上下の剋がなく遥剋もありません。ただ初伝のみが酉の上神か下神かだけで、中伝末伝は日上神か辰上神ですから、初伝のみが日干や課との剋関係になる可能性があるわけです。つまり、発用のみ何か事件が起こりますが、その後はどちらかというと閉塞感というか変化に乏しいと推察されます。そのゆえ「課経」には驚き恐れることがあり、慎重にしていれば吉、妄りに動くと凶とあります。二つの格、冬蛇掩目格と虎視転蓬格がありますが、いずれにしても十二天将や凶殺がくれば、災いが大きいとされます。


7. 別責課
 「別責は剋なく三課しかない場合で、剛日は三例柔日は六例、計九例しか別責はない。」

 別責課というのは、課目にあるとおり9つの場合しかありません。実は、私は長らく「剛三柔六九為宗」の意味が全くわかりませんでしたが、「大六壬預測学」にしっかり9例しかないと書かれていました。それは、戊午日、戊辰日、丙辰日で干上神が午、丁酉日で干上神が巳、辛酉日で干上神が酉、辛丑日または辛未日で干上神が丑か未、の場合です。四課がそろっていないということで、不完全不備の状態であり、剋もありませんから物事が進まないという意味があります。初伝は必ず干支の合をとり、それは干と支の合ではありませんから、これは婚姻を占えば、夫妻合せず初伝と合するわけですから、別の人と結婚するのか、または夫婦関係乱れるの象ということになります。


8. 八専課
 「八専は剋なく二課しかない場合で、陽日の場合は一課、陰日の場合は四課で、その超進の支をとるが、順逆は陰陽に従う。」

 八専課というのは2つの課しかなく、別責よりもさらに不完全ということになりますが、日干の寄宮支が日支と同じ場合ですから、干支相助ける、つまり自分と相手が協力する象意があります。また失物などは近くにあると判断します。八専課のうち三伝が酉酉酉と酉が3つ重なる場合を独足課といいますが、事に変化がなく、自分にとって得るところはほとんどありません。


9. 伏吟課
 「伏吟とは天地盤が動かないもので、乙癸日は剋となるので、伏吟法は使われない。」

 伏吟というのは四課すべて同じ場合ですから、基本的に動きはないはずですが、静が極まれば動に転ず、ということで、中末伝は必ず刑や冲を採るため動きが出てきます。刑や冲なのですから、原則として凶の変化となります。「課経」には「旧を守り新を待つ」とありますが、とにかく旧いものを打破するためには、影響の大きい凶神を使う方がいいのかもという気がします。
 伏吟課には大きく分けると自任格と自信格の2つの格があります。自任格というのは陽日で上下に剋がないもの、自信格というのは陰日で上下に剋がないものであります。その他に特殊なものとして杜伝格があり、これは発用が自刑である場合をいいます。いずれにせよ、凶に変ずる危険性があるので、柔順で動かないのが吉とされます。杜伝格の場合は、当初の目的を変更する方がよいとされます。


10. 返吟課
 「返吟は剋があれば賊剋法をとる。賊剋がない井欄は丑未と丁己辛の組合わさった日である。」

 返吟というのは四課が対冲で、おおむね剋となりますから、課式の中でもっとも動きが激しい課といえるでしょう。易卦でいえば震卦であり、驚くことが重ねて起きるという卦になります。返吟は上下対冲なので一見悪そうですが、必ずしも凶とはいえない場合もあり、十二天将や空亡などをよく見る必要があります。「課経」には三伝ごとに象意が書かれていますが、あまりあてにならないのでここでは省略します。
 返吟課はおおむね剋となるといいましたが、上下に剋がない場合があり、それを井欄といい、格の名称では井欄射格といいます。この場合は四課とも土支となります。土支ですので、墓になることが多く、異変や不安、上下阻隔の象意があります。


この続きは、こちらのサイトを参照してください。

【四課三伝 詳細】
 ここでは、一課から四課、ならびに初伝から末伝で示される内容の詳細をまとめておきます。
 貴人・騰蛇・朱雀・六合・勾陳・青龍・天空・白虎・太常・玄武・太陰・天后の星が並びますが、六壬神課を十二天祥星というのも、これら12個の星から来ているものです。
 

1.貴人
  ときには天乙貴人とも呼ばれる。
  その名称の通り、気高さを備えた王者を同じく高貴な生き物である龍がとりまいている。
  十二天将の中の主神であり、優雅、上品、知的な素質や、出世や昇進といった意味を持っている。
  吉。意のままになる。指導的立場で人を導く。
  土性。気品ある、優雅、目上、貴重品、慈悲、キーマン。色は黄、数は8

2.勝蛇
  霧の中、周囲に鬼火を引き連れて飛ぶ蛇の姿をした神獣。人を驚かせて喜ぶような性質がある。
  そのためか、悪意、むやみに早い、変化の早さに驚く、ショックを受ける、といった不安になるような意味を多く持っている。
  凶。安寧を求めて得られない。不安感より変化を恐れる。
  火性。恐怖、怪現象、困難、驚き、ずるい、死、裁判、火、血、刃物。紅赤色。数は4

3.朱雀
  南方の守護神として尊ばれる、大きく翼を広げた美しい鳥の姿をした神獣。
  激しくも優美なその姿は、頭が良く理知的で、勉学に関連した意味を持っている。
  また派手さや美しい人を示す、といった特徴も持っている。
  少凶。周囲を威圧する。臨機応変、目立つ。
  火性。派手、華美、教育、学問、美人、先生、郵便、通信、占い、試験、人当たり良くも内情は異なる。赤黒色。数は9

4.六合
  空に飛び立とうとする四島立ての馬車と、その背後の開いた門で示されるのは全体的な空間である。
  そこから、連絡、通信、バランスがとれた状態や調和、原題ではインターネットといった意味を司るとされている。
  吉。円滑な対人関係。多くの友人に囲まれる。平和を愛する。
  土性。交際、和睦、交流、正直、外交、誰とでも、契約書、よい取引、結婚。青色。数は6

5.勾陳
  城壁を背にした近衛将軍の姿で描かれる勾陳。その背景になる日干し煉瓦からは、秦の始皇帝時代からの歴史が読み取れる。
  地表を守るとされ、労働や地味な努力、正直で真面目、といった愚直な意味を示すことが多い。
  凶。争いを好む。知りたがり。融通が利かず、アクが強い。
  土性。愚か者、停滞、喧嘩好き、下品、警察、気が短い、軍人、二枚舌、戦争。黄色。数は5

6.青龍
  東方の守護神とされる、青く輝き生命力にあふれる龍の姿の神獣。
  めでたさを示す瑞雲という雲の中を縦横無尽に動く姿から、活動的、早く動いて変化を遂げる、積極的な活動、といったスピード感のある意味が多い。
  吉。活動的。積極的。
  土性。活動的、繁栄、出産、権威、人格者、金持ち、お金、商売、金融、収穫。藍色。数は7

7.天空
  シルクロードの難関、ゴビ砂漠を思わせる黄土高原の砂漠と空。
  砂煙が舞い上がるその様子は、中身がない、中身がないので事態も変化しない、といった空無なイメージのある意味を示すことが多い。
  凶。嘘つき。ギャンブル、貧困。
  土性。空虚、嘘、損失、消耗、徒労、詐欺。黄色。数は5

8.白虎
  殺伐とした猛獣の雰囲気みなぎる白い虎。西方の守護神であり、一日に千里を走るともいわれる神獣である。
  そこから、早い、決断・果敢といった意味がある。また流血の意味もあり、そこから外科手術をしめすことも。
  凶。非情。猪突猛進。
  金性。争い、病気、乱暴、動物、冷酷な人、手術、凶器、金属。重工業。栗色。数は7

9.太常
  王の旗を持つ使者が畑と酒がめを背景にたたずんでいる。
  天帝に使える文官ともいわれ、平凡さや、飲食、宴会といった意味を持っている。
  こつこつと真面目に働く人を表す、という意味なども与えられている。
  吉。地に足のついた保守的常識人。
  土性。五穀、名誉、酒飲食関係、衣食住。黄色。数は8

10.玄武
  亀と蛇が合体したような姿の神獣であり、北方の守護神とされている。
  そのどこか不気味な姿には、狡猾さや悪巧み、悪知恵、といった意味が与えられている。
  さらには、隠し事や家出、忘れ物や落とし物、という意味も
  凶。表情に出さず腹に一物あり。他人には予測がつかない。
  水性。盗み、秘密、滅亡、陰気、陰険、邪心、逃亡、悪智恵。黒色。数は4

11.太陰
  杖にすがる老婦人で示されるが、実際には老婆の姿をした女神である。
  月で示される女性の知恵を象徴するようなその姿から、医師、宗教家、占い師などという人物を示し、宗教に深く関わる意味を持っている。
  吉。現実離れしていて、純情。
  金性。精錬、消極的、隠居、静香、清貧、新興宗教、水商売、神職、正直、融通はきかない。白色。数は6

12.天后
  その手に実りの稲穂と瓜を持ち、湖に立つ貴婦人のような女神。
  女性らしさや母性的なもの、あるいはセクシーで成熟した大人の女性を示す。そこから、セックス、新婚旅行、駆け落ち、といった意味がある。
  吉。慈悲深い。恋愛。
  水性。女性的な気品。優雅さ、愛人、妻、淫乱、秘密、黒色。数は9


【六親 詳細】
 ここでは、六親で示される内容の詳細をまとめておきます。
「兄弟」 兄弟姉妹・同僚・友達・争い・ライバル・浪費・口舌・貪淫・嫉妬・無礼・不正等
「父母」 父や母・目上の人・先生・手紙・電話・勉強・知識・悩み・文書・印綬・衣服・乗物・契約・天地・墳墓等
「子孫」 子や孫・目下の人・ペット・客・安心・福徳・僧尼・医薬・毛皮・象牙・珠等
「妻財」 妻・愛人・女性・お金・宝物・事業・奴婢・飲食・気象・貨物等
「官鬼」 夫・男性・上司・試験・昇進・神邪・病・盗・失物・災・庁殿・溝渠等
を意味しています。



では、今回はこんなところで。
次回はこの六壬神課を使って具体的に占う際に使用する一連の表について説明して参りましょう。

48859439304875040547419850053340580036934054012175447303116040540121914022614269