前作のプロジェクトSHIMONADAで、とりわけ製作方法に悩んで、時間がかかったのが、電柱、自転車、テレビアンテナの3つでした。今回は製作ノウハウを開拓済なので、時間は大幅にセーブできそうです。ただし、若い人には想像できないでしょうが、小生、2年もたつとすっかり作り方が忘却の彼方です。幸い、ブログに詳細を記してきたので、この冗長なブログは、自身の製作マニュアルとしてすごく役に立っています。

 

さて、電柱については、前作のその403からその417の全15回に渡って、作り方を詳しく書いています。まずは実物の構造を、思い出してみましょう。こちらは下灘の電柱です。四国電力の特徴であるL型腕金がついています。赤矢印は電気の流れです。

 

こちらはポパイの2階屋上から撮った電柱です。なぜか上灘周辺の電柱にはL型腕金は使われていません。

 

各部の名称を書き加えました。

 

電線の最上部には、高圧配電線があって、6,600ボルトの電気が流れています。電線を支えるのが腕金で、高圧耐張碍子とクランプを介して電線とつながっています。電気はクランプで分かれてジャンパー線を通るので、腕金に電気が流れることはありません。

 

高圧配電線の電気は、高圧引き下げ線を通って、高圧カットアウトにつながります。高圧カットアウトは、雷やショートの際に自動的に電気を遮断する、いわば大きなヒューズです。

 

6,600ボルトの電気は高圧カットアウトを経て変圧器に取り入れられ、ここで200ボルトと100ボルドに降圧されます。通常は100ボルトのものがフューズホルダーを介して各戸に配電されます。隣の電柱につなぐための低圧配電線もあります。

 

低圧配電線のさらに下にあるのが、通信線です。昔は電話線だけでしたが、今は高速通信用の光ファイバーケーブルやらケーブルテレビ線やらが加わっててんこ盛りです。ショートの危険がないので、碍子はありません。

 

あと、前作で大いに悩んだのが、電柱の高さと太さですが、これは電柱に貼ってあるプレートをみれば、簡単に判別できるので、現地取材の際に、しっかりチェックしておきます。例えばこちらは下りホームにある小型電柱です。

 

プレートには7-19-4.3とあります。最初の数字が高さ(メートル)、次の数字が先端部分の直径(センチメートル)です。最後の数字は強度で、模型には関係ありません。テーパーは1/75、つまり75㎝毎に直径(半径ではありません!)が1㎝太くなるものが一般的です。

 

電柱は通常、全長の1/6を地面に埋めます。つまりこの電柱の地上高さは7×5/6=5.833メートルということになります。また、地面と接する部分の直径は、190+5833/750×10=267㎜ということになります。大日コンクリート工場株式会社様のサイトにあるこちらの表と一致しますね。

以上が電柱の概要で、これだけ知っていれば模型は作れると思いますが、もっと詳しく知りたい方は、電柱マニア諸氏がつくっているウエブサイトをご覧ください。

 

さて、模型用の設計ですが、パワーポイントで実物写真の上に線や四角形を置いていきます。実物写真は、近くから撮ったものだと見上げる形になって上に行くほど短くなってしまうので、なるべく遠くから撮ったものがベターです。グーグルのストリートビューの写真も大いに役に立ちます。

 

というわけで、今回のセクションの全ての電柱を何日もかけてチマチマと設計したものがこちらです。電柱バンド(電柱に巻いてある金属の輪っか)は、太いものを青色、細いものを黄色で記載しています。大いなる自己満足ではありますが、足場ボルト(電柱に登るための太いボルトで、ステップボルト、クライミングボルトとも呼ばれます)もなるべく実物通りの位置に書きました。

 

次回から製作に入ります。