新しいプロジェクトを開始しました。下灘駅の1つ手前(松山寄り)にある「伊予上灘(いよ・かみなだ)駅」を作ります。こちらがその駅舎です。

 

 

プロジェクト名は、前作にならって「プロジェクトKAMINADA」といたしましょう。米国型ファンの皆様、「米国型鉄道模型・・・」というブログ名を標榜しながら、今回も四国の駅でごめんなさい。あと、実は5年前、次作は国鉄時代の下灘駅、というお約束をしていたのですが、資料が思ったように集まらないのと、さすがに同じ場所のセクションを続けて作る気力が湧きませんでした。「国鉄時代の下灘駅」は将来のプロジェクトとさせてください。

 

さて、伊予上灘駅は、下灘駅より3年前の昭和7年に開業した、予讃線の駅です。当時は山陰の倉吉線に上灘駅(うわなだ)駅があったため、頭に「伊予」がついたのだとか。昭和60年に倉吉線が廃止された後も、こちらの駅名はそのまま「伊予上灘駅」なのですが、長ったらしいのでこのブログでは今後、「上灘駅」と記載することにします。

 

この上灘駅、1985年に予讃線の山側に内子線経由のバイパス路線が開通したため、今では予讃線海周り、通称「愛ある伊予灘線」の小駅となっています。週末に運行される「伊予灘ものがたり」を除くと、やってくるのは普通列車だけですが、上り側の線路が撤去されてしまった下灘と違って、上灘駅は上下線の列車が交換できるようになっています。

 

なだらかなカーブを描いたホームは、上下線がずれた形になっているので、交換の待ち時間には駅舎前の構内踏切(通路)からこんな写真を撮ることができます。

 

こちらはJR四国のホームページからお借りした時刻表です。予算線の多くの列車は山側のバイパスを走るので、本数はまばらです。モータリゼーションが進んで乗客は減少の一途をたどっているようで、昼間の運転間隔は2時間、3時間と開いています。目的の列車に乗り遅れちゃったら、ちょっとたいへんなことになっちゃいますね。

 

こちらはJR四国が提供している営業係数の図です。上灘駅のある通称「愛ある伊予灘線」は100円を稼ぐのに626円かかっていて、四国のワースト3路線に入っています。鉄道ファンとしては、美しい海岸沿いを走る愛すべき路線の永続を願うのですが、企業経営の観点だとかなり厳しいことになっています。

 

駅舎は昭和7年に建てられたものがそのまま残っており、下灘駅(1号型)よりひとまわり大きい、小停車場標準2号型だと思います。ただし、屋根や車寄せなどが改装されていて、改装時はこういうのが流行りだったのかもしれません。

 

因美線の美作滝尾駅のように、そのままの姿を保っていたら、レトロ駅舎としてたいへんな価値が出たのでしょうが、さすがに当時、そこまでの想像力はなかったのかも。もっとも、因美線の駅は早くから駅員無配置になってそのまま放置されていたようで、当時の国鉄やらJR西日本が将来を見通して維持した、ということではないかもしれません。

 

さて、下灘駅が爆発的な人気を呼んだ理由は、住民の皆さんの努力があったとはいえ、何といってもホームから手の届くようなところに美しい海があることでしょう。上灘駅も海に近く、住民の皆さんのホスピタリティは素晴らしいのですが、いかんせん、上灘駅にとっての不幸は、駅からは海が直接見えないことです。駅舎を出ると駅前広場があって、旧国道を挟んだ向こう側には民家が並んでいます。

 

駅前の旧国道を下る道はこんな感じです。

 

以前は民家のすぐ先が海で、かなり高い擁壁と防波堤があったと思うのですが、1980年代半ばに埋め立てられて、国道378号線ができました。国道側からみると、駅前の民家はこうなっていて、実にモダンなお宅が並んでいます。

 

すぐ近くには、ふたみシーサイド公園があって、小生には無縁ですが、美しい夕陽が楽しめる「恋人の聖地」なんだそうです。グーグルでみると、このようになっています。

 

駅舎の待合室はご近所の方が実にきれいに飾り付けてありますが、残念ながら「海が見えない」という一点で、下灘のような一大観光スポットにはなっておらず、訪れる観光客はまばらです。判官びいきの小生としては、なんとか上灘にも、お客様に来て欲しいものだと思います。

 

 

幸い、上灘駅にはなかなか魅力的なお店があります。駅前広場に面して、双葉食品というコンクリート造りの立派な食料品店があるのですが、この2階が「ポパイ」という喫茶店なのです。

 

このお店のことをネットで調べていて知ったのですが、長く閉まっていたのを、横浜から祖父母の家に移住してきた若い女性が、クラウドファンディングを使って「海に恋する、泊まれる喫茶店」というコンセプトで再オープンさせたんだそうです。ゲストハウスになっていて、割とお手頃な料金で、宿泊もできます。

 

小生は泊まったことはないのですが、今年5月、ランチでいただいたコンビネーションプレート(1,000円)はなかなかにおしゃれ、かつ美味でした。すみません、ランチの写真を捜したのですが、撮影していませんでした。

 

長々と書いてしまいましたが、自分用のメモ、ということでご容赦下さい。次回はこの駅周辺のいつの時代を、どう切り取って模型にするかについて、綴ってみようと思います。