皆様、すでに三が日を過ぎてしまいましたが、あけましておめでとうございます。2020年が皆様にとって、とてもよい年になりますように。

 

さて、下灘駅の風景を「小学生が1か月のおこづかいでつくることができる」方法で再現させるプロジェクトSHIMONADAですが、作業がシーナリーに入ったところで、パタリと手が止まってしまいました。小生、シーナリー工作はブランクが10年以上あるので、ウエブや雑誌で、諸兄が近年どんな技法を使っているか、かなり気合をいれて研究したのですが、簡単かつ実感的、となるとかなりハードルが高くなります。さらに、ストラクチャーと違ってパソコンの中で作業ができる訳ではないので、いざ試すとなるとふるいにかけた砂やら木工ボンド水溶液といった、やっかいでメッシーな作業が待っています。

 

さらに悪いことに、最近、中断していた別の趣味である、ビデオ編集を再開してしまいました。以前撮影していた映像を、パソコンで編集するのですが、これをやるとある程度、休日の創作意欲が満たされてしまって、なかなか模型に取り掛かろう、という気力が湧かないのです。実はこの正月休みも、かなりの時間をビデオの編集に費やしてしまいました。こんなやつです。

 

 

で、ブログ更新も長らくストップしていたのですが、この正月、久々に書きたい話が出てきました。このところ、船便が届いてもパラパラっとめくるだけのモデルレイルローダー誌だったのですが、今回、この上なく面白い記事に出会いました。そうです、米国型ファン諸兄ならすでにご承知と思いますが、燃えてしまったG&D鉄道のオリジナルのドックサイドを、あの松本謙一氏がレストアした話が、2020年2月号のトップ記事として掲載されたのです。

 

 

ジョン・アレンが心臓発作で亡くなったのが、1973年1月6日、そして、彼のゴーリー&ディフィーテッド鉄道が火災で燃えてしまったのが、その10日後でした。ネットでは有名な話なのですが、氏が所有していたロコは、現在MRの編集部が保存している4-10-0(火災のとき、偶然誰かに貸し出していた?)を除いて全て燃えてしまったと思われていたのが、実はカバンに入って、ひどい状態ながらも残されていました。焼けた家を買い取った隣人が焼け跡から集めて、NMRAの太平洋地区に寄付したものが、長年にわたって忘れ去れていたとか。小生、ネットでこの話を始めて読んだときは、信じられないような気持ちでした。この何とも数奇な話は、こちらでお読みいただけます。

 

これらのロコ、火災にあったものなので、当然ながらひどい状態だったのですが、今回の記事は、そのうち比較的程度のよい3台が、われらが松本謙一氏にあずけられて、まずそのうちの1台が復元された、というものです。こちらがその記事です。著者はNMRAの元会長であるチャーリー・ゲッツ氏、撮影は松本謙一氏です。著作権があるので、低い解像度での掲載をご容赦下さい。

 

 

タイトルは「モンタレーの奇跡」。ご存知のとおり、カリフォルニア州モンタレーは、ジョン・アレンの自宅があったところです。著者のゲッツ氏は、16歳のときにG&D鉄道を訪れて衝撃と感動を受け、鉄道模型を生涯の趣味にしたのだとか。またマツケン氏がジョン・アレンに大きな影響を受け、敬愛していることもよく知られています。今回の「奇跡」は、まさにこの3人の偉大な鉄道模型愛好家が見えない糸でつなかっていたが故に起こったミラクルではないでしょうか。

 

今回マツケン氏が再生させたのは、G&D鉄道の10号機、サクラ(日光モデル)が製造し、PFMが輸入したドックサイドです。リン・ウエスコット氏の名著「Model Railroading with John Allen」によると、ジョン・アレンがこのロコを入手したのは1965年で「Yard goat and switcher. Made by Sakura」とあります。今回のMR誌の記事には復元前の全体写真は掲載されていませんが、これが復元前のものです。さきほどのネット記事からお借りしました。

 

 

オリジナルのモーターは燃えてしまって使えなかったそうですが、マツケン氏が同じモーターを入手して(氏の知識とルートがあればさほど難しいことではないですよね)「G&D鉄道で走っていたと思われるのと同じくらいスムースに走る」ようにしたそうです。

 

ちょっとだけ記事を引用してみましょう。「2018年5月、私は東京の松本さんにロコを送った。201810月、私は妻のマーガレットとともに東京の松本さん宅を訪問し、彼の印象的なブラスロコのコレクションと、素晴らしいレイアウトであるデンバー&グリーンリバーノーザンを楽しんだ。その後、彼は誇らしげに、完璧にレストアしたG&D鉄道の10号機を取り出した。それは私の期待を超えたものだった。美しく塗装され、レタリングされ、ウエザリングされたそれは、キャブに乗せたウエストンの機関士に至るまで、私がかつてみた全てのオリジナルの写真と合致するものだった」。

 

この記事は2月号の掲載ですから、新年を祝ったものではないのですが、小生はお正月の旅行先(といっても安い保養所ですが)で封を開いたので、2020年のスタートを飾るこの上なく感慨深い記事として楽しみました。まだお読みでない方、MR誌のデジタル会員になると、バックナンバーもお読みいただけますので、ぜひお試しください(MR誌編集部様、このように宣伝しておきますので、無断の記事写真掲載をお許しくださいませ)。ああ、それにしても、久々に米国型鉄道模型の話を書きました。マツケンさんに負けないように、プロジェクトSHIMONADAも頑張らねば。