前回に引き続き、下灘駅のホーム上屋を作ります。さて、このストラクチャー、おそらく2012年の改修時に色が塗り替えられています。こちらは変更前、2010年に訪問したときの写真です。松山から乗って来たのはもともと特急に使われていたキハ185で、さすがにリクライニングシートは固定されていたものの、えらくゴージャスな普通列車の旅でした。
さて、この写真にある通り、このときの上屋は、支柱の土台のコンクリートが濃い目のベージュ色で、屋根の妻側はこげ茶の退色したものでした。
こちらが今の下灘駅で、支柱の土台はコンクリート色のまま、屋根の妻側は白に塗られています。前回掲載した設計図の通り、今回はこの2010年バージョンと2018年バージョンの2つが作れるようにしておきました。自己満足に過ぎませんが、使い分ければ、将来このセクションをお立ち台にして模型を撮影したときに「キハ58がこの色の上屋の下灘駅に入線しているのはおかしい」といった指摘を回避することができます。
さて、よもやま話に明け暮れていると、Part 3まで設けねばならなくなりますから、工作に進むことにいたしましょう。こちらが今回の工作のハイライトである支柱です。コピー用紙に印刷したものを木工ボンドで厚さ4㎜弱の紙に貼り付けます。どこで拾った紙だか覚えてないのですが、たぶんクリーニングのシャツに入っていた厚紙だと思います。
カッターとデザインナイフで、誤って細い支柱を切らないように、慎重に切り抜きます。拡大鏡のお世話になっていますが、うわあ、切り口、ぶっさいくですねえ。立派なことを書いてても、この写真が小生の工作力を物語ります。
切り抜いた2枚を木工ボンドで裏表に貼り合わせます。ご承知のとおり、紙には目があるので、縦向きのものと横向きのものを貼り合わせることで、強くします。それにしてもホント、この切り抜き精度はお恥ずかしい。切る際に力がかかって紙が変形しちゃうのもあるので、本当に正確に作ろうと思ったら、外注してレーザーで抜くのでしょうね。もちろんエコノミーモデラーの小生はそんなことはしませんが。土台には1㎜の厚紙を前後に貼ります。合計4枚重ね、コピー用紙も含めると8枚重ねということになります。
さらに、強度を上げるために、支柱全体に瞬間接着剤をたっぷりしみ込ませました。土台部分にもしみ込ませて、ペーパーがけに備えます。このダイソーの瞬間接着剤は1個あたり25円なので、保管中に固まってしまっても口惜しくありません。それにしても、瞬間接着剤を容器の最後まで無事使える方って、この世に存在するのですかねえ。
両方の妻側に板壁をつけました。今回は「2010年バージョン」にしました。瞬間接着剤をしみ込ませた土台部分は320番のペーパーをかけてやります。後の写真でバレますが、この作業をいい加減にやったので、実に不細工な仕上がりになってしまいました。色はベージュの色紙を巻くつもりだったのですが、面倒だったので肌色のクレヨンを直接塗っています。このあたり、最初はどっちみち試作品のつもりだったので、手抜きで進めました。
最初はベースなしで作ろうとしたのですが、強度的に難しいので、1.5㎜の厚紙を使った土台を用意しました。本番ではプラットホームを完成させてから上屋を組み立てることになります。気合い不足で、屋根の裏側が斜めになってしまいました。
木工ボンドで支柱を立てます。ある程度粘りがあるし、乾燥までにすこし時間があるし、はみ出た分は拭き取れるし、固着後はがっちりだし、安いし、この接着剤は本当に素晴らしい。
ベンチの土台を固着します。1㎜の厚紙を切ったもので、切り口はグレーのクレヨンを塗っておきます。木工ボンドのイモ付けですが、問題なく固着できます。
ベンチを取り付けます。本物の写真から作っているので、本物っぽいです。
屋根の破風板のあたりを仕上げています。
できました。接着時に二重構造の屋根がずれてしまって、雨どいがえらく目立つようになってしまいました。木工ボンドといえども、広い面積を貼ったときには、位置ずらしができないです。抜かりなく組み立てようと思ったら、ガイドとか治具を工夫しなきゃならないですね。
前述の通り、支柱の土台部分がひどい出来です。切り抜き時の精度と、瞬間接着剤をしみ込ませてのペーパー仕上げ、どちらにも問題があったということで、反省です。
とはいえ、屋根の横幅が6㎝にも満たない小さなストラクチャーですから、試作にしては上出来ではないか、と言い訳をしておきましょう。なお、本物には支柱と支柱の間に、補強用ワイヤがありますが、現時点では取り付けていません。ピンバイスで柱に穴をあけて、0.3㎜の真鍮線を通してやれば、精密感が増しそうです。
下灘駅のホームから撮った瀬戸内海を背景にして記念撮影です。今日も伊予灘は穏やかですね。支柱の素材と設計に悩んだだけに、何とか形になって感慨深いです。