途中になっている夕やけ団地の製作を再開しなければならないのですが、前作の「村井商店」で、もはや存在しない建物を再現する面白さを知ってしまったので、勢いに乗ってもう1軒、今は亡き建物を作りました。しかも今回はこのシリーズで初めてご紹介する「鉄道施設」です。考えてみれば、ここまでは「鉄道模型」といいつつ「建築模型」だったですものねえ。
 
下灘駅を出て左手、つまり松山側は空き地になっていて、何もありません。
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こちらの写真は松山側から下灘駅をみたころ。実は以前、「さなえ美容院」の向かい側には詰所がありました。ちょうど枕木の置いてあるあたりです。

 

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この詰所の写真を懸命に探したのですが、村井商店と同じく、写真はネット上に3枚くらいしか存在しません。そのうちの1枚が、前回ご紹介した「かめ」様のブログに掲載されているものです。これについても氏から高画素の写真を貸与いただいたのでご紹介しましょう。こちらです。撮影日付は2004718日なのですが、2007年に同じ場所で撮影された写真にこの建物はないので、この後しばらくして取り壊された、ということになります。
 
 
 
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このストラクチャーの難関は羽目板です。国鉄時代の施設によく使われている羽目板、具体的には「クレオソートでこげ茶色のものが太陽光で色あせて半ば灰色になったもの」を求めて、ネットで、木造駅舎から木造校舎、公民館、フリー素材から有料素材まで検索しまくったのですが、イメージにぴったり合うものがありません。プロジェクトSHIMONADAで過去につくった板壁の素材にも、そのまま使えるものがないのです。結局、これまで自分が撮影していた写真から何とか作りだしました。
 
 
 
元ネタにしたのは、予讃線の伊予西条駅にあるこちらの建物です。
 
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ちなみに、この伊予西条駅、以前は線路脇に古い木造の鉄道施設がずらりと並んでおり、特急「しおかぜ」の車窓から眺めた際、いつかは取材したいものだ、と思っていたのですが、この3月、久々に訪問したら「鉄道歴史パーク」というのができていて、多くの建物が取り壊しになっていました。こちらが現在の様子です。以前は右手側に木造の鉄道施設が並んでいました。
 
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そもそも鉄道の歴史をテーマにした施設を作るために、貴重な昭和の鉄道遺産を壊しちゃうとは何ごとだ、と憤ったのですが、冷静に考えれば、木造の詰所を貴重と考えるのは、国鉄時代の再現を目指す鉄道模型ファンだけなのかもしれません。車窓からコンパクトデジカメで撮った写真ですが、どんな建物があったか、1枚ご覧にいれましょう。撮影は2009年1月18日です。どうです、シブいことこの上ないストラクチャーだと思いませんか? 今となっては、途中下車して取材しなかったのがとても悔やまれます。
 
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話を現在に戻して、これがさきほどの建物の左側側面です。ちなみに正面には立ち入れませんし、裏手も木とツタが茂っていてNGです。この2枚の写真から、羽目板をつくりました。
 
 
 
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どういう加工をしたか、というと、説明しにくいのですが、フォトショップを使って、コピーして、スタンプツールを使ってつなぎ目をスムーズにして、左右反転してつないで、つなぎ目をスタンプツールでスムーズにして・・・と、チマチマ時間をかけて作業します。フォトショップの使い方は完全自己流なので、実はもっと良い方法があるのかもしれません。こちらが完成したものですが、なかなかよい感じで、今後、国鉄時代のストラクチャーをつくる際のベースに使えそうです。
 
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1万人に1人くらいは「使いたい」という方がいるかもしれないので、横長のバージョンも掲載します。これを使ってストラクチャーを作ると、エコーの羽目板より格安な上に、着色も不要です。暗さや色合いはパソコンソフトで調整して下さい。フォトショップがなくても、ウインドウズに標準装備してある「フォト」やパワーポイントで十分調整できます。
 
 
 
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窓がまたたいへんでした。国鉄の木造施設に使われていた、ありふれたタイプの木枠窓を探したのですが、小生の住んでいる横浜のニュータウンにそんな窓はありません。遠出したとしても、美観地区でもない限り、ほとんどの家屋の窓はアルミサッシに改装されてしまっています。岡山県の新姫線沿いには、好ましい木造駅舎がいくつも残っているようなのですが、都合よく使える窓枠写真はネットでみつからないし、取材にいく根性もありません。
 
 
 
悩んだ挙句、さきほどの写真にあった小さな窓を元ネタにして自作にトライしてみました。そうすると、あらら、案ずるより産むが易しで、窓も引き戸も割とあっさりできてしまいました。元ネタが同じなので、さきほどの羽目板ともよくマッチします。しめしめ、今後この手法を使えば、たいていのストラクチャーの窓は、自作できそうです。
 
 
 
こちらが先ほどの板壁の窓を修正したものです。鉄格子がついているのを、1本1本消してつくりました。上側の枠は、下側の枠を上下反転させてコピーしたものです。
 
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桟と桟の間を広くした上で、3段の窓にしました。窓も白く抜いてやります。
 
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窓に下半分を加えて引き戸を作りました。下半分の板は、さきほどご紹介した羽目板と同じ素材です。
 
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この方法を駆使して、4段の窓と天窓も作りました。この写真をご覧いただくと、加工工程がお分かりいただけると思います。
 
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まだ詰所の工作に進んでいませんが、長くなったので、今回はここまで。続きは次回ご紹介することにします。(続く)