銀座の天賞堂ビルが建て替え、とのことで、今日2月17日は、4階のエバーグリーンショップ最後の日でした。オープンしたのが1995年4月ですから、小生、24年間に渡って、このお店からたくさんの楽しみをいただきました。
 
開店当時はまだヤフオクやらe-bayはなく、中古模型の流通はごく限られたものでした。そんな時代に交通至便の銀座ど真ん中に、中古品を扱うお店ができたわけですから、連日の大繁盛、棚は買取品から委託品まで、模型がずらりと並び、昼休み時間や夕方は、いつもお客さんで溢れていました。日本型だけでなく、米国型のブラスロコが、棚の3列にずらっと並んでいた時代もあります。当時は元箱から出して、隙間なく縦に並べていましたから、下手な米国の模型屋よりも、米国型ブラスロコの品揃えが豊富だったかも。ただしお値段はけっこう強気で、小生はもっぱら鑑賞専門でした。
 
そのうち、米国型ブラスロコの人気が落ちてくると、ビッグボーイやチャレンジャーといった長尺ロコが放出されて、ずらりと並んだ時期もあります。お値段もずいぶんこなれてきました。そんな中で小生が買っていたのは、元箱なしで錆びだらけのやつとか、走らないやつとか、ムラだらけの筆塗り塗装のやつとか、スポンジにやられたやつとか、キャブ屋根がへこんだやつとか、いわゆるジャンク、あるいはそれに近いものばかりでした。お店にとっては「上得意」とはとても言えないバーゲンハンターだったなあ。とはいえ、たまには思い切ってUPの9000とか、NYCのナイアガラといった銀箱の名品にも手を出しています。万一嫁が読むと困るので、詳細は記しませんが。
 
当時、小生の会社は赤坂見附にあったのですが、仕事で脳内に水蒸気がたまると、お昼のベルと同時に会社を出て、地下鉄で銀座に移動して、20分だけお店をみて、隣にあったマクドナルドで100円バーガーを2個つめこんで、大急ぎで会社に戻る、というのをやっていました。たいていは眺めるだけだったので、買い物にいく、というより、小さな美術館か骨董屋さんをのぞきに行く感覚だったのですが、これが実にリフレッシュするのです。脳内にドーパミンが分泌されるのですかねえ。
 
会社がお台場に移ってからは、さすがに昼休みに訪問することはできなくなりましたが、それでも夜の飲み会が新橋であると、飲み会前の15分間、あわただしくも至福の時間をすごさせていただきました。ネットオークションが盛んになって、以前ほどは商品が出回らなくなっていましたが、古雑誌をお手頃価格で提供してくれるし、模型を実際に手にとってテストランができるのは、リアル店舗ならではのよさでした。何より、日本型のみならず、欧州型、米国型まで、店員さんの博識ぶりは驚くべきもので、よきアドバイスが得られました。
 
さて、閉店がアナウンスされてから1か月余り、名残り惜しさとバーゲン狙いで、わりと頻繁にお店を訪問させていただいたのですが、結論からいえば、これといった買い物をすることができませんでした。15日の金曜日には、外国型の中古品(買取品)で大きなバーゲン(6割引き?)をやったそうなのですが、小生が訪問した夕方には、すでにケースは空っぽの状態でしたし、最終日の今日、昼過ぎに訪問したら、店内の中古品(7割引き?)はほとんど売り尽くされていました。開店と同時にいったお客さんは、ちょっといい買い物ができたのかもしれないなあ。お店の人に了解をいただいて撮影させてもらったので、すこしご紹介しましょう。
 
ご存知の入り口です。ワクワクしながら、この階段を何度登ったことでしょう。
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おおっ、7割引き、ではないか!
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けど、商品が、もう、ないじゃん・・・。
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アメリカ型のブラスロコが5台あります。ただし残っている商品は全て委託品なので、割引対象ではありません。売れなかったら委託主にお返しするそうです。この1か月、委託主と連絡をとって、閉店に向けてかなり値下げしたとのことでしたが、どれもちょっと手の届かないお値段でした。

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C&OのH-8、1962年の製造と思われます。一時は100万円のお値段がついたロコですね。箱に入っていて、本体は見えません。たぶん実物をみる最後のチャンスだったのでしょうが、値下がりしたとはいえ44万円は小生の購買力をはるかに超えたお値段なので、さすがに「見せてくれ」とは言えませんでした。国かJRあたりが買い取って、どこかの博物館に飾っていただきたいものです。

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結局、最終日の今日は、古雑誌だけを、タダみたいなお値段で売っていただきました。で、もはや買うものがないのに、去りがたくて困りました。建て替えた新しいビルでの再開を心から願うのですが、銀座のド真ん中で中古の鉄道模型を売る、なんてビジネスはもはや成り立たないのでしょうね。ともあれ、24年間、幸せな時間をいただきました。本当にありがとうございました。店員さん達の今後に、幸多からんことを。