下灘駅は海と山に挟まれた、狭くて細長いエリアにあります。駅手前の海側には、海を埋め立てて作った国道378号線、通称「夕やけ小やけライン」が走っています。駅裏の山側には、旧国道が走っていますが、曲がりくねった1車線道路で、往時は国道ならぬ「酷道」と呼ばれたとか。小生、小学生のときに釣り好きのおじに連れられて何度か通ったことがありましたが、車酔い必須の悪路でありました。
駅前には旧国道を挟んで、山裾を削って得たわずかのスペースに民家が何軒か並んでいます。うち2軒はすでに取り壊されて、空き地になっていたのですが、2017年、空き地の1つに「下灘珈琲」という、休日限定営業のコーヒースタンドができて繁盛しています。
駅を出て右手方向、つまり長浜方向に旧国道を進むと、自転車置き場に続いて夕やけ団地があり、なだらかな上り坂道の両側に何軒かの民家があります。
一方、駅を出て左手、つまり松山方向には美容院が1軒あるだけです。
この一連の駅周辺風景を実物通りにNスケールで再現するには120×60cm(実物だと180×90m)のスペースが理想で、これだと手前の海も後ろの山もある程度表現できます。こちらがグーグルの衛星写真をそのサイズで切り抜いたものです。
しかしながら狭いマンションに、こんな大きなものは置けません。シリーズ初回に記載したように、国鉄時代のセクションをもう1つ作るという構想もあります。そこでサイズはちょっと絞った90 ×45 cmとしました(旧作の国鉄箕面線白島駅とほぼ同寸法です)。
とはいえ、無理に小さくすることで実物の雰囲気を壊したくはありません。そこで、建物のサイズやホームの長さはスケール通りとして、模型として表現の難しい、だだっぴろい広場スペースを縮小しました。具体的には、
●左側にある美容院を実物換算で20メートルほど、駅側に移転させました。美容院手前の駅構内には原っぱしかないので、模型化しようとすると、スペースをもて余してしまうと思ったのです。
●駅舎の右側の駐車場の幅を、若干狭くしました。その分、駅から右側の建物郡は全て5メートルずつ駅側に近づいています。
●国道378号線をスケール通りつくるとかなりの道幅になってしまうので、海側の路側帯を狭くしました。
●手前の海はほとんど表現できませんが、これは別に撮影用の海原パネルを用意することで対応することにします。
こちらがアレンジ後のもので、今後の基本設計図となります。
さて、前回ご紹介したとおり、グーグルアースの写真は画素数が低すぎてそのまま使えないので、地面のテクスチャーをさまざまな素材から作っていますが、今回はいよいよ難関の道路です。国道378号線と旧国道がありますが、ご覧の通り画素が粗い上に、旧国道には建物とその影が映りこんでいて、とてもそのままでは使えません。それではどうするか。ウンウンと苦しんだ結果、何とかみられるものができましたので、簡単にご紹介しましょう。
下灘駅のホームからみた伊予灘と国道378号線です。この写真から道路をつくります。
フォトショップによる苦闘の末、直線部分ができました。手前の片車線だけを加工して、これを上下反転させて2車線にするのがコツです。
さて、これをカーブ用にどうやって曲げるか。フォトショップ完全自己流を貫く小生は、悩んだ挙句、フィルターにある「レンズ補正」という、レンズの周辺部分での画像のゆがみを補正する機能を使いました。道路の下に広い四角形のスペースをつくって、つまり道路を四角形の上端のほうにもってきてから、レンズ補正をかけるとカーブができます。大小のカーブをいろいろつくって、現物のカーブにあうものを選びました。ただし、もっと簡単な方法があるのかもしれません。
こちらは駅正面にある横断歩道です。白線部分には、フォトショップのフィルターにある「グラフィックペン」を使って、かすれた部分をいれています。かすれた文字や図形をつくる方法は、ネットにたくさん出ていますが、どれも説明が宇宙語で書いてあることと、小生のフォトショップエレメントは機能が限定されていることで、これが限界でした。さらに、80%の半透明にすることで、やや退色した感じにしました。
何とか2本の道路が完成しました。旧国道の水色のラインはカッティングラインです。
以上、かかった費用はゼロですが、試行錯誤にかかった時間は膨大です。次回からはもうすこし簡単に出来ると思うのですが、もう二度とやりたくないかも。さて、次は防波堤の工作です。はて、あの曲面をどうやって表現すればいいのやら。試行錯誤が続きます。