エピローグ
 
この国鉄箕面線白島駅は、900×430ミリのレイアウトセクションとして完結しており、線路も両端をぶった切った形になっています。とはいえ、将来の延長計画がなかったわけではありません。学生時代の小生には、自分が社会人となって、将来どこに居を構えるか皆目わかりませんでしたが、いつかは小さな部屋を1つ占有して、河田耕一氏のいう「汽笛の聞こえてくるようなレイアウト」をつくりたいなあ、と思っていました。
 
実際、今回みつかった当時の設計図の中から、この駅セクションの右側につながるセクションのラフなスケッチが何枚か出てきました。「蔵本村」と「小川のある風景」を足して2で割ったようなデザインで、当時の小生がいかに坂本衛氏に心酔していたかがわかります。
 
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今回はご紹介しませんでしたが、実際に藁ぶき屋根の農家や納屋も、製作を開始していました。設計図だけでも、ご覧いただきましょう。

 

 
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さて、35年経った今、「汽笛の聞こえてくるレイアウト」が実現したかというと、国鉄箕面線白島駅は、今回ご紹介するまで、やんちゃな姪以外は誰も手を触れることなく実家で眠り続けてしまいました。小生、仕事やら子育てやら、懸命に生きたつもりではありますが、幼い頃の夢が、まだ何も具体的な形になっていない、というのは、何ともなさけない話です。

 

 
とはいえ、社会人になって鉄道模型への興味を失ったわけではありません。実はこのあとドイツ型のNゲージにはまってしまい、その後はこのブログで紹介しているように米国型のHOゲージにはまってしまいました。ただでさえ時間がないのに、3つの国の2つのスケールを渡り歩いているのですから、まとまった形のものが作れるわけがありません。
 
おまけに最近ブログを書くようになってから、書いたり調べたりするのも面白いと思うようになりました。さらに、久々にNゲージの貨物上屋をスクラッチしたら、国鉄時代の美しい日本の風景をNゲージで再現したい、という気持ちも再燃してしまいました。ううう、まだ何も形になっていないのに、やりたいことが多すぎて収集がつきません。サラリーマンですから当然しっかり仕事もしたいし、まことに困ったものです。ただし、間違いなく言えることがあります。皆様、ご同意いただけると思いますが、Model Railroading is funですね。50年近く楽しんでも、まだまだ興味が尽きないです。
 
さて、最終回の図版が、未完成の古い図面で終わるのは、イマイチです。未練がましいのですが、この夏に炎天下で撮影した写真を数枚ご紹介して、エンディングといたしましょう。強烈な太陽光線のおかけで、端々まで照明が届いているのが売りです。
 
1枚目は位置の関係でこれまであまり写真に登場しなかったタクシー会社です。古いファンの方なら、阿部敏幸さんの名作「温泉バスの駅前車庫」をモチーフにしていることが、すぐにおわかりいただけると思います。ただし、この小さな駅にバス車庫があるのは不自然なので、ちょっと小さめにして、個人タクシーの車庫ということにしました。正面にはモルタルの上にさらに看板が掲げてありますが、これは最初、モルタル部分に細筆を使って白ペイントで直接書いたものが、うまく書けなかったためだと思います。
 
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すでに何度も登場している自作のオート3輪ですが、せっかく大枚を叩いてカトーのC12を購入したので、後ろに写り込んでいるものをご紹介します。C12は何の手も加えていない、プラスティックの質感丸出しの新品なので、ボケた写真がかえって好都合です。

 

 
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平成の大修理を終えた火の見やぐらを、裏側から撮影しました。このセクションはどの方向からみても一応楽しめるように仕上げてあって、それが工期が長引いた理由の1つです。暇な学生時代だからこそ、なせるわざですね。

 

 
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これも平成の大修理を終えた腕木式信号機です。夏の炎天下の撮影で、照明の状態は完璧ですねえ。

 

 
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縦方向に撮影すると、いろんなストラクチャーがごちゃっと入って楽しいです。小生の腕だと、前後がボケちゃうのは仕方ありませんが。プラの質感丸出しのオハ61の屋根には目をつぶってください。
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これも何度も登場した自作のボンネットバスです。あまりの小ささに内部を作ることなど全く考えませんでしたが、こうしてみると、内部が結構目立つので、せめて運転手を座らせておけばよかったです。乗客も数人、欲しいですね。
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道の反対側からのショット。これも真夏の太陽のおかげで、手前から奥まで、くまなくライトがあたっています。
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今回再建した貨物上屋付近です。小さなスペースですが、ストラクチャーとフィギュアとアクセサリーが一体となって、楽しい雰囲気をつくっています。全体に彩度を落とした色使いを心掛けましたが、こうしてみると、ドラム缶の赤や日通トラックの黄色が、いいアクセントになっていますね。
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これにて、国鉄箕面線白島駅の製作記を終わります。毎回似たような写真と、冗長な駄文に長くお付き合いいただき、ありがとうございました。
 
(国鉄箕面線白島駅製作記 おしまい)