今回は伊勢谷武の小説「アマテラスの暗号」の記事。
いわゆる「日ユ同祖論」を題材にした小説。
籠神社の宮司である日本人の父と、アメリカ人の母の間に生まれ、アメリカで育った主人公の賢司・リチャーディー。
ある日、日本の禁断の秘密に触れた父親が何者かに暗殺される事件が起き、その死の真相を探るため、賢司は日本の歴史のタブーに迫っていく
というストーリー。
あくまで小説作品なので、登場人物やストーリーはもちろん架空のものですが、
その中で登場する地名や場所、歴史史料や伝承などは全て実在するもの。
筆者があとがきの中で
「古代史、神話、宗教は比較的人を選ぶテーマですが、...(中略)...ノンフィクションとしては出版しづらい内容という理由以上に、幅広い層の人に読んで貰いたいという理由のために小説形式で著しました」
と書いているように、あえて万人向けの読みやすさの観点から"小説"という体裁を取っているものの、
その実は様々な史料や説から作者なりの日ユ同祖論・古代史に関する分析・仮説を展開していくような内容になっています。
作者が日ユ同祖論の根拠として紹介している史料や説の
日本神話の「島生み」の順番に関するもの。
イザナギとイザナミがいわゆる「大八島」を生み出す時、その生まれる順番は
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①:淡路島
②:四国
③:隠岐
④:九州
⑤:壱岐
⑥:対馬
⑦:佐渡島
⑧:本州
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の順番。
この順番に隠された真実について、小説の中で書かれていた説が面白くて。。
東南アジア・沖縄方面から黒潮に乗ると、黒潮は紀伊半島にぶつかって瀬戸内海へ流れ込む方面と太平洋側へ流れていく方面に分かれる。
瀬戸内海側へ流れる方に乗ると、最初に辿り着くのは淡路島。
一番最初に淡路島が生まれているのは、渡来してきた最初に辿り着いた島が淡路島だったことを表しているのでは?という説。
また2番目の四国について。
最初に淡路島に辿り着いた人々が、次に移り住んだのが本州ではなく四国で、それが"2番目に生まれた島"という設定に反映されているのでは?
と論を展開しています。
東南アジア方面から黒潮に乗ってきた人たちが、一番最初に淡路島へ辿り着き、そこから四国に移動して、その後他の地域にも移動していった。
国生みの順番は、この移動の順番を反映している
という仮説。
この航路を利用して東へ移動し、最後は黒潮に乗って日本までたどり着いたのがユダヤ人なのでは
と仮説を立てています。
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そういう違和感って他人に言われてみれば気付くけど、なかなか自分ではスルーしてしまう。(コロンブスの卵的な?)
あくまで「日ユ同祖論」は都市伝説なので、日本までやってきたのがユダヤ人かどうかは正直微妙だと思ってますが💦、
でも東南アジアや沖縄方面から黒潮に乗ってきた人たちが、島生みの神話のストーリーに影響してる、というのはありそう!