【微ネタバレ注意】池井戸潤「民王」感想 | 狸穴の雑多ブログ

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今回は池井戸潤さん小説・「民王」の感想です!

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あらすじ
 

物語の主な舞台は、霞が関の政治の世界。主人公は、与党「民政党」幹事長・武藤泰山。
総理大臣・田辺が緊急辞職したことで、総裁選を勝ち抜き、後継者として総理に就任します。
ただそんな矢先、なんと大学生の息子・翔と人格が突然入れ替わってしまうというトンデモ展開!

翔は泰山として総理の仕事をこなしますが、学力が低すぎて国会答弁で漢字を読み間違えてしまい
泰山もまた翔として授業出席や就職活動等の大学生生活を送りますが、政権批判する教授や就活の面接官にブチ切れてしまう
等々、お互い未知の環境の中で、ハチャメチャな混乱が起こる様が面白い作品です!

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感想

池井戸潤さんといえば「半沢直樹」が有名ですが、
以前「半沢直樹」のドラマを観た時は、「金融」というお堅くて小難しい設定ということもあり、あまり楽しいと感じませんでした。

ですが、この小説は、「人格の入れ替り」というファンタジー・SF的なぶっ飛んだ展開の上、

-漢字が読めない翔(外見は泰山)が「未曾有」を「みぞうゆう」と読み間違える時事ネタ(麻〇さんw)
-学生のパーティで、女子大生に鼻の下を伸ばす泰山(外見は翔)


等々、コミカルなシーンも多く、読みやすかったです!

一番心に残ったシーンは、
それまで翔のことを「バカ息子」と毛嫌いしていた泰山が、

翔が就活で応募した無農薬野菜販売会社の面接に際して、彼のの志望動機

「農薬を使い安く作られた野菜ではなく、無農薬で安全で美味しい野菜を人々に届けたい」

という思いを知る場面です。

「翔もいつの間にか立派になった」

と、その成長を実感する姿が印象的でした。
 

人格が入れ替わり、「入れ替わった相手」としてふるまい過ごすことを通じて、

お互いの置かれている環境を知り、途切れていた親子の絆を取り戻していく様子に感動しました。

 

「お互いの思いを知る」

というのが、「人格入れ替わりもの」の醍醐味なのかもしれませんね。