「まいボコ」感想 | 狸穴の雑多ブログ

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どうも!

 

今回は巷で話題になっている、

 

山下泰平氏著

「『舞姫の主人公をバンカラとアフリカ人がボコボコにする最高の小説の世界が明治に存在したので20万字くらいかけて紹介する本」

 

の感想文です!

(書名が長すぎて、記事のタイトル欄に入りきらんかった・・・w)

「舞姫」の主人公をバンカラとアフリカ人がボコボコにする最高の小説の世界が明治に存 [ 山下泰平 ]

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(2019/12/26 20:42時点)
感想(0件)

 

まいボコ」という通称が一般的のようですねびっくり

 

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明治時代、西洋からいわゆる「文学」(哲学や人間の心理、思想的な要素があるもの)が日本に入ってきますが

その「文学」が知識人たちのための「ハイカルチャー」となる一方、、、

 

江戸時代からの歌舞伎や講談などの純粋な「娯楽」作品は、「明治娯楽物語」として、庶民のための「サブカルチャー」に進化していきます。

 

 

この本は、「文学」の影に隠れて庶民に愛された「明治娯楽物語」について紹介・分析する内容です

 

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西洋の新しい知識・情報が入ってくる中、今までの歌舞伎や講談の内容そのままでは読者に飽きられてしまう。。。

 

なんとか新しい要素を取り込もうとするも、イマイチ上手くいかずにグダグダなストーリーになっている様が面白いですビックリマーク

まるでGATHERERみたい・・・

 

ジュール・ヴェルヌ「月世界旅行」の影響を受けて、「東海道中膝栗毛」の弥次さん喜多さんに宇宙旅行させてみたり、、、

 

露西亜がこわいか」では、日露戦争に従軍した主人公・馬丁の辰五郎の決め台詞が「ロシアが怖くて酢だこが喰えるかい!」だったり、、、

ルフィの「海賊王にオレはなる!」的なカッコイイ名台詞を生み出したかったんでしょうが、全くもって意味不明です・・・www

 

 

タイトルにもなっている「『舞姫』の主人公をボコボコにする小説」とは、「蛮カラ奇旅行」のことです

 

喧嘩自慢の主人公・島村隼人が、偶然出会ったエリス(森鴎外「舞姫」で、主人公・豊太郎に捨てられたヒロイン)に出会い、敵討ちのために豊太郎をボコボコに殴る

 

というタイトルそのままの話なのですが

 

ハイカルチャーである純文学(例:舞姫)

サブカルチャーである明治娯楽物語

 

・・・純文学やハイカルチャーへの嫉妬の感情もあったのでしょうね。。。

 

 

今でいう「アベンジャーズ」のように、様々なヒーローを生み出そうとするのですが、これはやはり時代の価値観なのか、

 

ヒーローというよりも、ただの乱暴者が多いです(笑)

 

先にご紹介した島村隼人も、パリで何の罪もないフランス人伯爵夫妻を殴り殺していますし滝汗

 

「快勇桂市兵衛」「西国轡物語」等、様々な作品に登場する豪傑ヒーロー、桂市兵衛に至っては

 

腹が減ったという理由でその場にいる人を殺し、持っていた弁当を奪って笑いながら喰らう

山の中で意味もなく人を殺す

 

もうはやサイコパスですうんちうんちうんち

 

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本書では

 

「明治時代は政治体制や価値観が変わったばかりで不安定な時代だったため、善悪があいまいだった」

 

と分析していますが、、、

 

国力を付けて対外的にも勢力を増していた「上向き」の時代でもありますので、

 

「強さだけが正義」という思い上がりもあったのかもしれませんね。

 

 

かつて武士の勢力が増した時代、貴族や皇族に暴力を振るう「ばさら大名」が現れたのと似ていると思いました。。。

 

 

このほかにも、様々なツッコミどころ満載のストーリーやキャラたちが紹介されていますので、是非読んでみてください!