7.いきなり将軍

将軍就任という大事を「僕も春から老中になるから、君は将軍、よろしくね♡」とかるーく歌にした曲。なんでやねん、と。

「ちょっと待って心の準備がまだ♪」と言いつつも
「この先よろしく 幕府ふゥウゥゥゥゥ♪」と歌い上げ
「フユ、フフツフフユー♪、フユ、フフツフフユー♪」と口笛吹いて終わる
このお気楽モードが良い。


【歴史解説】
「将軍」とは一般的には軍隊の指揮官のことだが、日本史的には蝦夷(東方)を征伐する官職「征夷大将軍」。中世以降、武家の棟梁がその官職を担い、源頼朝の鎌倉時代、足利尊氏の室町時代、徳川家康の江戸時代へとつながる。それぞれの武家政権のこと「幕府」と呼び、それぞれ鎌倉幕府、室町幕府、江戸幕府という。将軍の元で実際に政治を担ったのが、鎌倉幕府では「執権」北条氏、室町幕府では「管領」斯波氏・細川氏・畠山氏、江戸幕府では「老中」という関係。

「いきなり将軍」は「老中」からのお願いなので江戸幕府の話。
江戸幕府の将軍も親から子供に継承したのは以下の〇印。誰を将軍にするかは常に問題になっていたでしょう。さすがに「今日から君が将軍ね♡」はないとは思うが、この中で言えば、新たな家筋から15歳で将軍についた11代家斉(いえなり)か。
教科書的に言えば、賄賂政治の田沼意次を排して、松平定信を老中に据えて厳しい寛政の改革を実施。幕府財政を立て直した、と言われる。
(その後はまた放漫経営への揺り戻しがあり、「化政文化」と呼ばれる町人文化の発展をみることになるが、幕府財政もまた危機に陥ることになる。家斉は将軍在位最長の50年、側室は40人!、子供は55人!だそうです。)

初代家康→〇2代秀忠→〇3代家光→〇4代家綱→△5代綱吉(弟)→△6代家宣(家光の孫)→〇7代家継
×8代吉宗(家康まで遡り紀州家から)→〇9代家重→〇10代家治
×11代家斉(吉宗の家系の一橋家から)→〇12代家慶→〇13代家定
×14代家茂(家定の従弟/父が家斉の七男)
×15代慶喜(水戸藩斉昭の七男/血筋では秀忠まで遡る)


【ダジャレ・連想ワード】





8.Let's FUJIWARA

「Let's FUJIWARA」フジワラしようぜ!、「Let me try FUJIWARA」フジワラやらせて!という藤原氏の歌。歴史用語、連想ワードが満載の一曲。うまく説明できないのだけど、この曲はリズムと言葉(語呂)がはまりすぎててすごい。「権中納言定家イェエ♪」なんて「ゴン」「チュウナゴン」「サダイエ」「Yeah!」ってなんなんでしょう、これ。

曲の合間に手拍子(チャン、チャン)が求められるのだけど、これもライブで盛り上がりそう。昔ブラジリアン・ジャズみたいなジャンルにはまっていた時があるのだけど、ちょうど KITTY WINTER & GIPSY NOVA の New Morning という曲が似たような感じでクラブとかで調子のって手を叩いていると、同じようなリズムなのにそのまま曲がつながっていくところがあって、間違って一人手を叩いてしまって恥ずかしい思いをする、というのを思い出しました…

Let's FUJIWARAもご注意を(わざとこうやって作ってるのかなあ)




【歴史解説】
藤原氏とは、飛鳥時代、乙巳の変・大化の改新(KMTR645)で有名な中臣鎌足(藤原鎌足)を祖とする氏族。奈良時代は藤原不比等から、武智麻呂(南家)、房前(北家)、宇合(式家)、麻呂(京家)に別れる。平安時代は北家が力を持ち、藤原道長の時代、一族で摂政関白を独占する摂関政治にて栄華を極める。(その後、摂関家から独立した後三条天皇が即位し、摂関家の力は弱まることになる。院政の時代へ)鎌倉時代以降の武家政権でも公家として一定の影響力は持ち続ける。「藤原」でなく五摂家として「近衛」「鷹司」「九条」「二条」「一条」の苗字を名乗る。以降、現代まで綿々とその血筋は続く。

フジワラしようぜ!と言われても簡単にはできない立派な家系。
佐藤・斎藤・伊藤・加藤・後藤・武藤・近藤・安藤・遠藤など「藤」のつく苗字はちょっとフジワラしてみた感じ。

藤原道長:平安中期   -道長摂政となる(1016)
貴族が自分の娘を天皇の后にして天皇と親戚関係を築き、天皇と娘の子を次の天皇にする。天皇が年少の時は「摂政」として、成長すれば「関白」として、一族で権力を握った摂関政治。道長は自分の娘のうち3人を、それぞれ3人の天皇に嫁がせるという「一家三后」をなす。

道長の絶頂期、娘を天皇に嫁がせた祝いの席で歌を詠む
「この世をば わが世とぞ思ふ 望月の 欠けたることも なしと思へば」

藤原定家:平安末期~鎌倉初期(道長の5代子孫) -小倉百人一首(1235)
平安末期を代表する歌人で「新古今和歌集」や「新勅撰和歌集」の選出を任される。「小倉百人一首」の撰者としても有名。権中納言定家(ごんちゅうなごんさだいえ)と称す。

百人一首では、女性の立場での恋人を待ち焦がれる歌を詠んでいる
「来ぬ人を まつほの浦の 夕なぎに 焼くや藻塩の 身もこがれつつ」



【ダジャレ・連想ワード】
・「貝合わせ♪」=「しあわせ♪」:平安時代の遊び
 ※貝合わせ:ハマグリの左右貝殻の内側に同じ絵を描き、裏返して同じペアを当てる遊び
・「来ぬ人を 待ちわびて 日が暮れて 身も焦がれ♪」:定家の歌より
・「Dancing in the Moonlight♪」 :道長の歌より
 ※King Harvest、Toploaderの曲「Dancing in the Moonlight」 が有名 (月明りの下、ダンスしてる)
・「帝のそば スタンド・バイ・ミー♪」 :帝のそばに寄り添って摂関政治
 ※名作映画の主題歌 Ben E Kingの曲「stand by me」が有名(闇の中、月明りだけ、私のそばにいて)
・「あの方も通ってた♪」=「毎日方違え♪」:かたたがえ 
 ※方違え:縁起の悪い方角を避けて別の場所に行ってから、改めてそこから出発する平安時代以降の風習
・「寝殿住んでダンシング♪」:平安時代の貴族の屋敷「寝殿造」
・「シンガソング右大臣♪」:道長/定家は違うが藤原不比等から藤原の右大臣はたくさん、歌人もたくさん。
・「摂関政治に邁進♪」;摂関政治に邁進、そのままですね
・「荘園売ってエンディング♪」:院政の時代になり「荘園整理令」が出される
・「さよならロングロード♪」:さよなら道長
 ※でも藤原の絶頂期は終わるけどずっと公家としての勢力は維持している
  平家みたいに打ち滅ぼされて「祇園精舎の鐘の声、、、」とはちょっと違うイメージ。