美濃の紙漉き名人「古田さよ子さん」逝く | きよこハウスブログ

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pipiのブログ-美濃、古田さよ子さんの紙漉き
こんな紙漉き女性がいらした。

美濃の紙漉き、古田さよ子さん。ご主人の古田行三さんの陰に隠れているが、その技は比類なく素晴らしい。初めてさよ子さんの漉く動作を見た時、水の動くそのリズムがまるで音楽のように聞こえた。

スーッ、ポン、スーッ、ポン、チャプチャプ、ポンッ、ポン。

軽快で明るく高い音。桁を握る手は軽やかで、無駄な動きはほんの少しもない。水の動きと連動して、一体となっている。漉いて、たねて、簀をめくり、また漉く。流れるような動きで、休む間もなく次へ次へ。さりげなく、すごい。また紙干しも、刷毛さばきが確実で、且つ早い。


「蕨生(わらび)にやるぞ(行かせる)ぞ。」と悪さをする子供に言えば、おとなしくいうことを聞くようになるほど、美濃市蕨生での紙漉き仕事は重労働だった。その蕨生で生まれ、紙漉きを覚え、結婚し、4人の子供を育て上げ、ご主人に仕えた。料理も上手で、あゆの煮つけなどは絶品。仕事柄来客が多く、漉きながら忙しく応対する。女性は朝早くから夜遅くまで紙を漉き、家事もするのが当然。すべて乗り越えてこられた。


手先が器用で、ちぎり絵もいいものを作る。お花もうまく生ける。さよ子さんに、「生まれ変わっても紙漉きになりたいですか?」と聞いたことがある。口を堅く結んで、しっかりと首を横に振った。


がまん強く生きなければならない運命を、生き抜いた女性。12月9日に亡くなられた。私は、この方のそばで学ばせていただけた。ありがとうございました。紙漉きの技も、生き方も、私の永遠の目標である。


写真 : 美濃、古田さよ子さんの紙漉き  

      2001手すき和紙カレンダー「和紙ができるまで」より 

      美濃紙漉き独特の横ゆりのようす  切り絵 うらべきよこ