ゴールデン街ですよ~
ゴールデン街へ行く。
「汀」で小澤俊夫さんと待ち合わせ呑む。
ここ西木正明さんについてきて
一人しゃべり倒した記憶がある。
ママ覚えてて
「みんな酔ってたから大丈夫だった」
そう言ってくれた。
なぜか最近唐突に
その場面がフレッシュバックしていた。
店の名前を覚えていないので気になっていた。
10数年前の出来事をここに行くぞと
前振りてくれる予知能力健在。
これは私自身の内なる能力だが。
10数年ぶり2度目の訪問の店だった。
小澤さんと諸々進行中企画の結果や
明日の話など手短に済ませ
共通の店の話で盛り上がる。
まだ編集者だった村松友視さんと
唐十郎さんの間に挟まれて
演劇論をいつも聞いてたナジャのカウンター。
姉妹店「アイララ」では
赤塚不二夫さんがよく餃子パーティをやっていた。
それから
良夫ちゃんの「インゴ」へ遊びの場は移り
代替わりした「ナジャ」の三越時代を知らない。
2丁目に戻った店へ何度か言ったが
安保ちゃん亡くなり行くことも無くなった。
今のゴールデン街は
外人にお上りさん風行き交い観光地の風情。
初めて足踏み入れたのはある冬の初めに
唐十郎さんに「まえだ」へ案内された。
角川春樹は上等な黒のカシミヤオーバーコート
私はグレーのミンクのコートだったので
ホコリついてないかそっと手で椅子を撫でた。
それが無頼になるまでの幾星霜
こんな女に誰がした。
夜な夜な星の流れに唄おうか。
その後「まえだ」のママが亡くなり
店の遺品整理に駆り出された。
田中小実昌さんの写真が大量にあった。
私が預かる事になったが
担当だった新潮社校條さんへ託した。
遺品分けに木彫りの印鑑セットを貰った。
あぁ~今は昔。
それぞれのゴールデン街物語はいずれ語ろう。
窓の外で小さなゴーヤが生った。
命思う。
一日一日闇夜に石橋叩いて生きて行こう。
本日板橋呑み。さて飲み倒すよ~。
★『覚悟する戻れぬ橋の彼岸かな』