昨日のblogで、清元の歴史が歌舞伎音楽(義太夫・長唄・常磐津・清元)の中で一番浅いというお話をしました。
清元の創設は1814年。
いまから206年前の江戸時代後期になります。
歌舞伎の歴史が400年以上と考えると、その歴史の浅さがわかると思います。
ただ「歴史が浅い」といっても、急にポッと湧いて出来た物ではなく
それまでの流行の中で色々枝分かれがあったり流れを汲みながら変化していったりして生まれた流派です。
つまり、浅いからこそその中には色々な分野の要素が詰まっているのです。

それが「清元の面白さ」であり「江戸の粋」でもあるのです。

なぁんて…偉そうに言ってますが、入門以来ずっと不真面目で怠けて逃げて清元の魅力なんてまるでわからず何となくこの世界に籍を置いていただけの僕は、やっと最近になって清元の面白さや難しさ、奥の深さに気付いたんですけどね。

おっと話が逸れました。
時を戻そう。

江戸時代、歌舞伎や人形浄瑠璃など様々な文化が流行し、時代とともに変化し、生まれ、廃れ、そういう流れを経て、それまでの流行の寄せ集めの中で清元は生まれました。
それまでの歴史の中に存在した色々な曲を、当時の江戸の流行の最先端にリメイクした物が数多く存在するのです。
清元オリジナルの曲でも、当時流行っていた端唄や俗曲をそのまま入れ込んでいたり。
まぁそれは清元に限った事ではないのですが、創設までの歴史が長い分影響を受けたり挿入したりする“ネタ”も多かったのではないかと思います。
それ故色々なジャンルの邦楽を知れば知るほど清元が面白くなるし、芸の幅も広がります。
逆に完璧な(芸事に完璧はないと言いますが)清元を演奏したり踊り・演じたりするためには、それだけの知識と技量を要するという事になります。
あくまで「突き詰めれば〜」の話ですよ。
もちろんそこまで突き詰めなくたって、例えば太夫さんの声の張りや節回しの美しさ、格好良さとか
三味線方の音のキレとか繊細さとか
純粋に曲を聴いていて、そのメロディラインが気持ちいいとか歌詞が粋だなぁとか
そういう魅力を感じてもらえれば十分なんですけど
清元の魅力を学術的に分析すると、そういう要素が詰まっているジャンルになります。

歌舞伎やその音楽に興味を持って様々な邦楽を聴いてから清元を聴いてみると、色んなところに色んなジャンルの歌詞やメロディが紛れ込んでいます。
それこそ「隠れミッキー」のように…

僕の場合はその逆で、先に清元を知ってから他の音楽を聴いて「あれ?これ聴いた事あるな」的な感じで、それを知っていきました。

なんだかかえって難しくなってしまった気もしますが、次回は体感的な魅力をご紹介したいと思います。