芸術の本望 | 愛蘭土時事雑筆; アイルランド雑記

愛蘭土時事雑筆; アイルランド雑記

アイルランドはすでに馴染みのある国。
エメラルド・グリーンの国。妖精やレプラカーン、ダンスと音楽、詩と文学。
ここでは、上記のロマン的な面も踏まえつつ、日常生活から見聞した出来事、問題などを取り上げて、赤裸々なアイルランドを紹介していこうと思います。

アイルランドもスッポリと冬の色に染まろうとしている。
 


花や木は、誰が見ようが見まいが大地が温かくなれば、茎や枝を伸ばし葉を茂らせ、花や実を結び、木枯らしを浴びながら熟した色に輝き、冬景色に細くなる。
 


人目など気にせずに、毎年生命の芸術劇を繰り返す。
 


 
人の手から創造された芸術も、大自然の芸術と似た側面を擁していると思う。
 


人目に媚びることなく堂々と存在する。
 


吉川英治の「宮本武蔵」に、富士山を仰ぎながら、あれになろうこれになろうと迷うより、あの富士のように巌と動かぬ自身を作れと云ったような内容の一節があるが、芸術の本望もこれではないか。
 


 
自然と一体化し、自然に帰る。
 


 
形は永遠に残るものではない。
 


形而学的な見解になるが、目に見えないものは永遠だ。
 


永遠を心に抱きながら制作された作品は、いつかまた人を寄せ付ける。
 


敦煌の仏教芸術や、フランスのラスコー壁画、アイルランドのニューグレンジやエジプトの遺跡群、死海写本など、一種神秘的にひょんなきっかけを基に、人類遺産の発見がなされている。
 


芸術家の一念が後世の人を発見へと導き、更に修復、保護をする人をも招き、一念が受け継がれる。
 


 
人が去り、一つの文明が終わり、国が無くなっても、芸術は厳として存在する。
 


評価されるされないではなく、存在それ自体が芸術の本望であると思う。
 


 
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