大学は授業も忙しいけど、大学祭の準備はもっと忙しい。

 

カフェの方は先輩達が打ち合わせをして、1年生はそんなに大変じゃないけど、

接客の仕方とか、お茶の淹れ方とか・・・そういうののレクチャーがあった。

 

おいらもカズも母ちゃんの手伝いしてるから、お茶の出し方は結構褒められた(*´艸`*)

 

でも、お茶を淹れるのは難しい!!

 

コーヒーはドリップしてるの飲んでるけど、

淹れてくれるの、母ちゃんか・・・翔くんだし、

紅茶は基本ティーバッグだから。

 

緑茶はおいらでも淹れることあるけど、濃いの苦手で・・・

 

だから、コーヒーも紅茶も日本茶も本格的?に教えてもらって、できるようになった。

 

んふふ、父ちゃんと母ちゃんに、コーヒー、紅茶、緑茶を毎日淹れて、練習したからね。

 

それに・・・翔くんにも(*´艸`*)

 

お弁当の時に持っていくお茶。

 

お弁当に合わせて、コーヒー、紅茶、緑茶を水筒に入れて(*´艸`*)

 

コーヒーはまだまだ翔くんの方が美味しく淹れられるけど、紅茶と緑茶は頑張った!!

 

『こんなに美味しく淹れられたら、奈良先生と高橋先生のところのカフェは、

智くんのお茶目当てのお客さんでいっぱいになっちゃうな。』

 

『智くんの淹れるお茶は、俺だけのものであってほしいんだけど・・・』

 

なんて翔くんが言って、カズに毎日、怒られて(笑)

 

『カフェなんだから、お茶淹れるの、当たり前でしょ!!

それに商売なんだし、繁盛しないと、俺のところも智のところも困るの、わかってるでしょ。

翔さん、経営アドバイザー的なので俺らのところに参加してるんだからさ。

営業妨害しようとしてるなら、出入り禁止にするよ。』

 

って(笑)

 

翔くんは経済学部だから、夏の合宿の時みたいにマーケティングの・・・今度は実践。

 

大学祭のカフェだから、利益重視じゃない。

 

でも最終的に売り上げが出ると、それはそこの収入になる。

 

だから、村尾先生のところの学生さんは、大学祭で経済と経営の実践をするんだって。

 

翔くんは・・・

 

『俺は智くんのところの専属だよ。』

 

って。

 

カズが呆れた顔で笑ってた。

 

カフェの準備と同時進行で、ゼミの展示の作品の準備をする。

 

フィギュアを作って、絵を描いて、ポストカードを作って・・・

 

ポストカードもひと悶着(笑)

 

奈良先生の研究室でポストカードを作って販売するって、翔くんが知った時も

 

『智くんのポストカード!?

俺、買うから、全部、俺が買うから。

誰にも買わせないから!!』

 

なんて言って、みんなの間がまん丸くなって、奈良先生が苦笑い(^^ゞ

 

『翔くん、ポストカードはコピーだよ。

手書きの原画は奈良先生が管理してくれるんだよ。

おいらのも、先輩のも、みんなのも全部コピーだよ。

ポストカードは見に来てくれた人、見てくれた人へのお礼だから、

翔くんも見てくれて、それで気に入ったのを買って。

1人3枚までOKだから。それ以上は・・・おいらが特別に翔くんにだけ描くよ。

 

先輩もみんなも奈良先生も、くすくす・・・笑ってる。

 

小さい声で言ったのに、なんで分かっちゃうのかな(><)

 

奈良先生がおいらに目配せしてから、翔くんの肩をポンとする。

 

『櫻井君・・・いや、今だけ”翔ちゃん”って言おうかな。』

 

『翔ちゃん、俺のゼミの子たちのポストカードは人気があるんだよ。

見に来てくれた人は、それを楽しみにしてる。

未来の画家、未来のアーティストの小作品だからね。

コピーって承知で買って行くんだよ。

自分のお気に入りのポストカードをね。翔ちゃんの気持ちはわかるよ。

好きな・・・作品は独り占めしたいもの(笑)

でも芸術は・・・ましてや大学だからね、みんなのものだよ。

翔ちゃんには特別なものがあるんだから、ここでは3枚までな(笑)』

 

『まぁ・・・大野君のポストカードがどれか、わかったらね(*´艸`*)』

 

『絶対、わかるし!!

でも・・・先生、承知しました。

俺が独り占めできるもの、たぶん・・・あるから(^^ゞ 

ポストカードは3枚、厳選します!!』

 

翔くんが敬礼するみたいにして、研究室の中が笑いに包まれた。

 

翔くんが独り占めできるもの・・・あるよ、ある。

 

パン屋の君だった頃から描いてる、おいらだけの翔くん。

 

いつか・・・渡せるといいな。

 

 

続きます。