奈良先生と高橋先生の話は、大学祭のこと。
毎年、一緒に大学祭の出し物をやってるんだって。
それで、今年は・・・カフェ!!
心を込めてコーヒーと紅茶とお茶を提供する。
食べるものは・・・ドーナツ屋さんから仕入れるんだって。
おいらたちのゼミの中にも、カズのゼミの中にも料理が得意な人はたくさんいるけど、
素人が手作りのものを販売ってするのは、とっても大変で・・・検査とか色々(*´艸`*)
だから、毎年、飲み物は学生で頑張るけど、食べるものはメーカーさんから。
おいら、大学祭って初めてだから、わくわくする!!
『ベースは大体決まってるし、コンセプトもはっきりしてるから、難しく考えないくていいよ。
楽しくやろうね。
全員が楽しくないと、来てくれた人はもっと楽しくないからね。』
高橋先生が笑顔で話す。
ユーモアもあるし、優しいし、高橋先生、なんかいいな。
『克ちゃん、何当たり前のこと言ってるんだよ。
そんなの当然じゃんね。』
カズが小さな声でボソッという。
あー・・・カズ、高橋先生に厳しいよ。
『カフェだけじゃないんでしょ、やるの。
大学祭なんだし、総合芸術学部なんだからさ。』
そっか、そうだ、カフェだけじゃないんだ。
『俺の子たちは、カフェに展示する絵でもフィギュアでもいいよ。
作品を学祭までに1つ以上作ってね。
克ちゃん先生の方は・・・』
『基本、音楽を流すから。
短くてもいいから、カフェで流す音楽を作るよ。』
『ゲッ!!』
『マジ!?』
『無理!!』
『克ちゃん・・・オニ・・・』
カズと他の1年生がびっくりで、げんなりな顔をする。
でも2年生と3年生、それに4年生は笑ってて、全然びっくりしてない。
『はい、1年。これはいつものことだから(笑)
1人で作れるやつは1人で作っていいし、難しいやつは協力していいんだから、
硬く考えるな(笑)』
『楽器で作ってもいいし、PCで作ってもいいんだしな。』
『好きなように作れ~!!
夢への第一歩だぞ。』
夢・・・夢への第一歩・・・
『はい、2・3年生、補足説明ありがとう!!
1年生、わかったね。
じゃあ戻って、もう少し詳しく話そうか。』
『はい!!』『うーす。』
高橋先生のゼミのみんなが立ち上がる。
『智、昼、どうするの?一緒に食べる?』
『あっ、カズ・・・お昼は・・・あの・・・』
みんながいるから、ちょっともじもじしちゃって、言い淀んじゃうおいら。
そんなおいらを見るカズの目がキランと光る。
『智、その感じは・・・あー(*´艸`*)
翔さん、来るんだ。待ち合わせしてるんだ。』
『うん・・・』
教室にいる全員がおいらを見る。
奈良先生と高橋先生も・・・・
うー!!恥ずかしい!!
恥ずかしいけど、みんなの目、優しく・・・笑ってる?
『大野君、良かったね。』
『櫻井君に、壊されないでね。』
『それは大丈夫だろ、昼間だし(*´艸`*)』
『いやぁ~、どうかな。
暫く、会ってなかったみたいだし・・・』
『うんうん(*´艸`*)』
?????
『智、いい友達ができたね。俺も安心(笑)』
ゼミのみんなが✌する。
うん!!
カズもみんなも、いい友達!!
『そうそう、今日から帰るから、おばさんによろしく伝えといて。』
『了解!!』
『翔さんにも、”落ち着いて”って言っといてね(*´艸`*)』
『うん、わかった。』
わかったけど、落ち着いて???
『まあ、いいから。』
そう言って、クスクス笑いながらカズは出て行った。
『はい、集中!!
カフェのことはまた後で克ちゃん先生のところの学生たちとよく相談してやってください。
今はこれで1回終わり。
これからゼミの展示のこと話すよ。
これがメインだからね。』
奈良先生が話を始める。
おいらは・・・夏休みの思い出をカタチにしようって決めた。
奈良先生の説明が終わって、大学祭までのスケジュールをして、
先生とゼミのみんなが打ち合わせをする。
おいらも決めたことを話すと、先生は笑いながら頷いて、OKをくれた。
『じゃあすみません。お先に失礼します。』
午前中の予定が全部終わって、教室を出る。
学校の・・・教会のところまで、一目散に走る。
翔くん、いるかな。
待ってるかな・・・
続きます。