ムビチケを買って以来、楽しみにしていたシネマ歌舞伎「刀剣乱舞」に行ってきた。

劇場で二回観たものの、大画面で観ると新たな感動に包まれる。

 

三日月宗近をはじめとする刀剣男子が素晴らしいのは言うまでもないが、今回感じ入ったのは、松永弾正だ。義輝を討つと決意した時の久秀にしびれた。

「上様」ではなく「義輝様」と呼びかけるときの宗近の表情が切なく、いつまでも尾を引く。

 

何もないところから、ここまでのものを作り上げる力、新作歌舞伎の醍醐味だ。

その過程がどれほど困難であっても、困難であればこそ出来上がったときの喜びも大きい。カーテンコールでのみんなの表情がすべてを物語っている。観客の一人としてその場に立ち合えたことは本当に幸せなことだ。

 

再演も新作も楽しみにして待つことにしよう。

どんなものでも取り込んでしまう歌舞伎の底力を信じている。

江戸時代から続いているのだ。これからも残していこうと努力する人がいる限り続いていく。いつまで見届けられるかわからないが、松也さんが作り上げる世界の証人であり続けたい。