裏口をトントンとたたく音は、いつもおかずをいただくのとは反対側のお隣さんだ。

以前、ご挨拶にうかがったとき、おいしい手作りの焼き菓子をいただいた。持って行ったお土産が恥ずかしいくらい、とってもおいしいドライフルーツたっぷりのパウンドケーキだ。

 

今日はいただきものというカステラとカップ用のドリップコーヒーを持ってきてくれる。午後のひとときにコーヒーとともにいただく。一切れずつに個包装になっているカステラを開けると、開けただけでおいしいとわかる。しっとり感が違う。上品な甘みが心地よく、あっという間に平らげてしまった。

 

夕方、何を作ろうかなと支度をはじめようとすると、いつものお隣さんが今日もおかずを持ってきてくれた。ほうれん草の白和えと切り干し大根の煮物だ。お手製の切り干し大根も!ごはんだけは炊いているし、昨日の残りものもあるので何もしなくてよくなった。

 

仕事も辞めたし、故郷とはいえこんな田舎に引っ込んで大丈夫かと思っていたが、心配することなんて何もなかった。田舎だからこその良さがあるのだ。今は、それを楽しめばいい。