安芸灘大橋を渡ってすぐの下蒲刈島。ここは、春蘭の自生する美しい島であることから蘭島と呼ばれていたそうだ。蘭島文化振興財団が運営する文化施設が六つあるそうで、今日はそのうち五つの施設を訪れた。

 

まずは蘭島閣美術館へ。ここで、四つの施設で使える共通券を購入する。共通券の料金は1680円で白雪園での抹茶もついている。

 

「百花の魁」と題した所蔵作品展、一階の展示室からめぐる。広島にゆかりの画家の作品に続いて、安田靫彦、小林古径、前田青邨が描いた紅梅が並ぶ。田舎の美術館だからとあまり期待していなかったのだが、ごめんなさい。この並びは素晴らしい。絵からにじみ出るオーラで静かな幸福感に満たされていく。さらに進むと片岡球子の描く富士が強烈な色彩を放つ。

 

二階の展示室では新版画の特集や岡田三郎助、黒田清輝、南薫造などの油絵もよかったのだが、堅山南風のスケッチに心惹かれた。さらっと描いているようで緻密、今にも飛び立ちそうな鳥たちの姿は、いつまで見ていても見飽きることがない。堅山南風、覚えておこう。

 

その他にも昭和から平成にかけての日本画が並ぶ。結構な見応えで、また展示替えがあれば訪れたい。

 

次の訪問先は、三之瀬御本陣芸術文化館。「くらしの美」ということで、室内空間を彩る屏風や襖絵などの調度品、食卓を彩るガラス食器などが並ぶ。二階に上がるとなぜかグリコのおまけコーナーがある。この館で常設展示をしている須田国太郎が集めたものだそうだ。私が知っているものよりも古く、昭和30年代のものが多いようだ。乗り物、台所用品、家具、人などなど種類別に並んでいて、昔を思い出してワクワクする。グリコの印象が強すぎて、須田国太郎の絵の記憶がほとんどない。また機会があればじっくり絵を見よう。

 

蘭島閣美術館まで戻って、その脇の坂道を上っていくと蘭島閣美術館別館がある。たどり着く前に息が上がるが、登り切った場所からの眺めは疲れも吹き飛ぶ。三之瀬を一望できるほか、隣の上蒲刈島や蒲刈大橋も見渡せる。

 

さて、ここは共通券の対象外なので料金240円を支払って中へ。共通券を持っていると団体料金になるそうだ。

寺内萬治郎の油彩画が並ぶ。裸婦の絵が多いが、裸婦ではない人物画の方が私は好きだ。光の当たり方が、服を着ている絵の方が際立っているように感じた。なぜ、寺内萬治郎か?父は蒲刈出身なのだそうだ。

 

別館を出て階段を下ると、白雪楼がある。江戸時代後期の建物を移築したものだそうだ。ここで抹茶をいただく。

 

最後に松濤園を訪れたのだが、それはまた明日振り返ることにする。