MSSの調子を上げるのにおそらく最後となるエキストラクターの調整を終えました。

調子の良さは買った時とは別人ですね。
今回のエキストラクターの加工は、弾のリムにかける爪を鋭角に削るというもの。空薬莢を引っぱり出す際にホールドを確実にするためです。加えてエキストラクターの爪がボルトの中心(撃針孔側)により傾くよう本体の内側にヤスリを当てました。エジェクターの頭も、若干後ろに下げています。
これにより、空薬莢は勢いよく30〜40センチ弾き出されます。非常に気分がよいです。MSSの射撃風景を動画で上げている方は多いですが、ボルトを引いても薬莢が排莢口から出切らずにいるケースが多く見られます。
排莢不良はMSSが持つ一種の欠点なのかもしれませんが、わたしの所に来た以上、そのままにはしときません。
以前のブログにも書きましたが、装填不良もしばしばありました。弾倉から上がってきた弾が、装填時に薬室の縁に弾頭が引っかかって止まる、

または薬室に入りかけたところで弾のお尻の真鍮ケースが内部の段差に引っかかってめくれて止まる、

これらもMSS特有の症状といえるでしょう。先日はこれが原因で猟ではMSSを使わなくなってしまったという方と射撃場でご一緒しました。円錐形のヤスリで薬室の入口にテーパーをかけるコツをお伝えしたら、やってみるとのことでした。

この銃の排莢不良については、指でつまんで出している、装弾不良については、弾倉を使わず村田銃のように一発ずつ込めて撃っている、というのもネット上で見かけます。が、これは非常にもったいないと思うのです。多少の難があっても、たとえ装弾数が2発でも、せっかく連発機能を備えている銃なのですから、MSSを使う者ならその機能は生かしたいものですよね。
この銃、見つけた時はボロボロのスポンジゴムのチークパッドに、接眼側がひん曲がったスコープがついた、物悲しげな姿でした。

わたしがこの銃を決めるまで、何人かがこれを目当てに店を訪れたようですけど、手に取ってはやめたそうです。しかしわたしは、使い込まれたその銃の雰囲気と、きれいに開けられた銃口付近のマズルブレーキの孔に前所有者のこだわりを感じて、見に来たその日に購入を決めました。
聞けば前所有者は山梨の老猟師。使い込まれた道具にはそれだけ実績もあるだろうと踏んだのでした。

銃を家に持って帰ってきて以来、実際に射撃場と猟場で使用しながら課題を見つけては数カ所に手を入れてきました。排莢と装填についてはここ数回にわたって述べてきた通りですが、弾倉については、フォロワーの上面に外側が高くなるよう段差をつけ、装填時に弾頭が排莢口側に向かないように改良しました。これにより、弾は薬室入口に引っかからず、素直に薬室に収まるようになりました。

照準については3.5〜10倍のスコープを載せています。ライフルを持つ前に、やはりMSSを使用していた猟の先輩から譲り受けたものですが、MSSには10倍のスコープはちょうどよく感じます。実際に当たるからです。

50mでのグルーピングは6センチ。わたしが射撃場で使う的紙は直径11センチの黒丸が8つ描かれたものです。ひとつに5発ずつ。周りで自動銃やレピーター銃を持つ方たちが的紙の貼り替えに忙しくしている中、MSSには1枚の的紙で十分足ります。10倍のスコープもよく見える分、集中力を高めてくれます。
もともとついてたスポンジのチークパッドは剥がしました。接着剤が劣化しきってガジガジに張り付いていましたけど、カッターで削ぎ落としました。ここは溶液を使えよというところでしょうけど、あまり傷が気にならず、薬品を好まないわたしはかまわずカッターで。ちょこちょこ入った傷には、黒マジックを塗って指でこすってぼやかしました(笑)。おかげで野性味が増したと思ったのですけど、今は銃床に5発差しの弾帯を巻いているので、その傷は隠れて見えないですね。弾差しを巻いたのは、防寒着のポケットから弾を取り出すのが思いのほか面倒だったための措置です。なかなか便利です。

ミロク社製MSS-20の構造やクセについてしたためていますけど、気がつく箇所は今後も出てくるかもしれませんね。たまにトラブルがあるほうが機械好きとしてはそのメンテを楽しめるのですけど、ボルトアクションの銃は構造自体は非常に単純かつ堅牢ですから、その機会があるのかどうかは何ともです。とはいえそのトラブルも、猛獣の前では起きてほしくないと思いますけども。