この冬に得られた山のお肉もこれで最後です。メニューはシチュー。ローレル、セージがポイントです。昨年と一昨年は、5月頃までお肉を買わなくて済んだのですけど、今年はこれで打ち止めです。

これまで山入りしていた長野の一角では、ここ数年で有害駆除がすすんでいます。有害駆除とは、獣による田畑の被害減少のために自治体が地元のハンターに依頼して猟期に関係なく行われるもの。地域における獣の個体数の適正化を目的としています。
これがすすんできている地域では、普通の猟期(冬場の3カ月)に見かける獣の数もやはり少ないです。
もちろん農家にとっては有益なものですが、この有害駆除、自治体によってはそれはどうなのよと、見過ごせない部分があると感じています。端的に言えば、倒した獣を自ら食すこともなく、そのまま山に捨て置くケースがあるのです。

有害駆除は、猟で肉を得るためというよりは、捕獲そのものが目的となっています。加えて、自治体によっては「一頭いくらで金出してるんだからお肉はそのまま放置してください。でないと二重取りになっちゃうでしょ」ということがあると聞き及びます。「害獣」呼ばわりの上に倒すだけ。獣に対してこれだけ失礼な話があるかよと思うのです。
最近、猟をやってる福井県の女性町議が、自撮り写真を原因にバッシングを受けた事例がありましたけど、「獲物を捨て置く」とは、それとは比べものにならない罪深さじゃないのかと思うのです。さばく前に両手を合わせるクセのあるわたしには、包丁片手の変顔の自撮りはやりすぎだとは思いますけど、あれだけ綺麗な肉の処理はちゃんと無駄なく食べようという意思がなければできやしません。たかがSNS上の自撮り写真を以って、ただただ辞職しろと騒ぐ人々には、若さというものを許容する余裕はないのですかとわたしは問いたい。
話を戻します。いまわたしの住んでいる自治体は都心に近いぶん、ハンターが少なく農作物の被害が非常に大きいとあちこちで聞きます。加えて市の職員も「駆除で得た獣の肉にもジビエとしての流通に道をつけたい」として、担当部署の職員に罠猟免許を取ることを推奨しているのです。わたし自身、山に近いところに住みたかったし、そういう自治体ならと思った次第でした。
農地被害への懸念は自治体はもちろん警察署にもあるようで、先日用事で顔を出した際に有害駆除への参加をすすめられました。鉄砲の一斉検査の日に地元の猟友会の方を紹介したいとのことでした。
そうなれば、冬の猟期以外にも山入りすることになり、おそらくコンスタントに鹿・猪のお肉が手に入るでしょう。通年で猟ができるのはありがたいですけど、昨年の夏、熱中症ぎみで一度動けなくなったことを思うと、夏場は勘弁してほしいと思うのです。けど、そのへんはどうなのかしら。勘弁してくれるのかしら。