“ジャム”とは、銃の操作時に弾の装填や排莢がスムーズにいかないトラブルのことです。
わたしの所持する猟銃、ミロクMSS-20は命中精度、工作精度ともに非常によくできた銃です。堅牢な造りの機関部もメカ好きにはたまらないでしょう。50mでのグルーピングは8cm、100mでも20cmのドロップを計算に入れれば17cmにおさまります。

しかしながら、そのへんがさすが日本製というべきか、造りがカッチリしすぎてて、ボルトを素早く操作した際に弾の真鍮部分が薬室内のリムを止める段差に引っかかる給弾不良がありました。これまで160発を撃つ中でニ度ですけど、もともと2発しか込められない鉄砲。給弾不良は命取りです。

一度は鹿の群れを目の前にしてこれが起きました。初矢を外し、二の矢は装填時に真鍮部分がめくれてボルトが途中で止まり、撃てずに悔しい思いをしたものです。そこで今回用意したものがこれ。

延長ジョイント付きのリューターです。歯医者が使うドリルのオバケのような大きさですが。これをボルトを外した機関部の後部から突っ込み、薬室のカドを削るつもりです。おそらく0.1mm程度のごくわずかなテーパーをかければ真鍮部分のめくれももう起きないでしょうから、ドリルでなく手で回してカドをこすり、当りを確認しながらやるつもりです。

実はこの銃、以前から二発目の装填時に排莢口の先端部に弾の頭が引っかかるクセがありました。
ショットシェルはライフルと違い、先端部が撃発時に開放されるため、撃ちガラは実包よりも1cm強も長くなります。なので排莢口の間口は実包の全長よりもずっと長く、その間口の広い排莢口のすぐ脇を、実包をどうスムーズに滑らせ薬室に送り込むのか。これが課題でした。装填中に弾頭が排莢口に向いてはジャムが起こります。この時は排莢口先端部の内側にテーパーをかけてカドを落とし、加えて弾倉のフォロアーとリップの形状を見直して、装填中の弾の先端が排莢口側に向かないよう、壁をつくる加工を施しました。

ちょっと不格好ですけど、それより大事なのは確実な作動。そのためには今回のリューターがけも慎重にやらねばいけません。作動が確実な機械モノとはやはり美しいものです。
わたしの個体は見つけた時にはお世辞にもきれいとはいえない状態だったし、給弾・排莢の不具合についてはちょこちょこ耳にする銃でしたけど、これから手を入れていくことでどう生まれ変わっていくのか。自分でも楽しみです。